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「米化」でブレイク オートミールにハマった人たちに起きた変化とは

2021年11月28日(日)13時50分
阿古真理(作家・生活史研究家 ) *東洋経済オンラインからの転載

以前は白いご飯で同じようにしていたが、冷凍ご飯のストックがないときは、夫婦で朝食を抜くこともあった。オートミールなら、手間をかけずにすぐ米化できる。畑野さんが娘の世話に手を取られているときは、夫が自分で朝食を用意するようになり、朝の家事が楽になったことが、思わぬ収穫だったという。

娘にはふだんパンを食べさせているが、切らしているときは、オートミールで3人分のミルクチーズリゾットにする。すると、娘は毎回完食する。

「白いご飯の場合と味わいは遜色ないですし、食感がプチプチして楽しい。納豆はむしろご飯より絡みやすいです」と畑野さん。夕食は、産後で太ったことから畑野さんだけが米のご飯を抜いていたが、豚のしょうが焼きなどご飯が進むおかずのときは、オートミールを米化し合わせるようになった。今までは少し便秘気味だったが、毎日便通があるようになり、体重も2キロ減った。

「健康的なものを食べた感がある」

「ニューヨーク在住の姉にすすめられ、オートミールで朝食を摂るようになった」と話すのは29歳の翻訳家、水野響さん。子どもの頃から和食の朝食を食べてきたが、今はパートナーがアメリカ人ということもあって、ご飯食にしにくいという。しかしオートミールなら、パートナーも食べ慣れている。

カップ1杯分のオートミールを鍋に入れ、同量の水・豆乳を加えて煮る。食べる際は、はちみつ、ピーナッツバター、ドライフルーツ、シナモン、カルダモンを加える。

「ピーナッツバターの塩味と甘みのバランスがいいんですよ。ドライフルーツは何でも合いますが、イチジクが一番気に入っています。健康的なものを食べた感があり、お腹の持ちもいいですし、お通じも快調です」と話す水野さん。

ダイエット情報をときどきくれるヘルスコンシャスな父の影響もあり、以前から手軽な食べ物に多く含まれる小麦粉を、食べ過ぎないように注意していた。「人間は食べ過ぎている、1日3食食べなくても大丈夫、という説を聞いたことがあります。確かにそうかもしれません。夜にパスタを食べると、翌朝は体が重く感じますから」と水野さんは言う。

確かに、ダイエットが必要になるのは、カロリー過多な食生活をしているからだ。糖質制限ダイエットが流行してから数年経つが、今も何らかの形で実践する人は多い。それはその人自身が、炭水化物や甘いものを摂り過ぎていた自覚があるからかもしれない。

「飽食の時代」と言われて40年。グルメ情報が巷に溢れ、外食やテイクアウトの選択肢もたくさんある。食べることへの欲望が大き過ぎる社会への疑問が、糖質を減らそうとする人々の行動に結びついている面もあるのではないか。

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