ドジャース「破産からの復活」、成功の秘訣は「財力」ではない...「全ては背番号22から始まっている」
EVIL EMPIRE 2.0

チームの中心にいるのはロバーツ監督(昨年のワールドシリーズ優勝) USA TODAY SPORTSーREUTERS
<圧倒的な資金力で有力選手をかき集めるロサンゼルス・ドジャース。以前のヤンキースになぞらえて「新・悪の帝国」とも呼ばれるが、内実は大きく異なる>
大谷翔平の歴史的な移籍、ワールドシリーズ優勝、そしてフリーエージェント(FA)市場での爆発的な人気......。ここ1年半で一躍、時の球団になったドジャースが、かつてのヤンキースになぞらえて、ちまたで「新・悪の帝国」と呼ばれていると聞き、思わず笑みがこぼれた。今年のスプリングトレーニングの取材で受ける彼らの印象と、あまりにも懸け離れているからだ。
この球団が前オーナーの泥沼化した離婚劇に巻き込まれ、巨額の負債で2011年に破産法適用を申請し売却されたことなどすっかり忘れられているのは世の常だろう。
ドジャースは一度どん底を見ている。そこから13年間、現オーナーの投資会社グッゲンハイム・ベースボール・マネジメントの下で、誇りを取り戻そうとひたむきにやってきたことが実を結んだのだ。
「悪の帝国」と呼ぶなら呼べ。昨年の優勝で何かつきものが落ちたように笑顔が絶えず、楽しそうに練習する。日頃の取材対応にも明るさが表れ、感じる空気はむしろ楽園──と思っていたら、再契約したテオスカー・ヘルナンデスが同意してくれた。
「まさにパラダイスと呼んでいいと思うよ。ここは今の野球界で一番いたい場所。みんなが追い求めるホーム(居場所)を感じさせてくれる場所だから」