EXCLUSIVE-日産、米国向け「ローグ」日本で減産へ トランプ関税で=関係者

日産自動車が、九州で生産している米国向けスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」を減産することが分かった。写真はカリフォルニア州で3月に撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)
Maki Shiraki
[東京 14日 ロイター] - 日産自動車が、九州で生産している米国向けスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」を減産することが分かった。トランプ米大統領による追加関税の発動により、日本から米国への輸出車には関税コストがかかるため。関係者によると、まずは5月から7月までの3カ月間、計1万3000台減産する。
ローグを生産する米国工場では2交代を1交代にする計画を撤回し、2交代を維持することを発表済みだが、米国向けローグの日本における減産は、米国の追加関税の影響を回避するため生産計画を変更する世界的な自動車メーカーの最新事例となる。
米国市場での主力車種であるローグは日産自動車九州の工場(福岡県苅田町)で生産しており、同車種だが、車名の違う日本向けの「エクストレイル」も同じラインで生産している。減産規模の1万3000台は、5月から7月の3カ月間の、米国を含むローグの輸出全体とエクストレイルを合わせた当初の生産計画の約20%に相当する。
また、今年1月から3月の3カ月間に米国で販売されたローグ約6万2000台の5分の1以上に当たる。
米国は日産にとって最大の市場で、24年の販売全体の約27%を占める。ローグは24年に24万台以上を売り上げており、米国販売の4分の1以上を占める日産で最も売れた米国モデルだった。
関係者によれば、日産自動車九州の工場の従業員は、減産により5月から7月にかけて、一部の日は定時よりも少ない労働時間で勤務し、工場が非稼働の日も発生する見込みだが、2交代制は維持する予定。
トランプ大統領は、相互関税については発動から13時間後に報復関税を実施しなかった国を対象に90日間停止するなど、方針が二転三転しており、先行きが不透明となっている。このため、8月以降も減産が必要かどうかは今後あらためて判断するという。
日産の広報はロイターの取材に対し、世界規模のネットワークを展開し、それぞれの市場に見合った商品を戦略的に提供していると説明。その上で「生産とサプライチェーンの運営を随時見直していて、持続可能性や効率性を踏まえた最適な解決策を講じている。その際には雇用や生産能力を優先して考慮し、市場の変化に対応している」とコメントした。今後も短期と長期の両方の影響を慎重に検討しながらアプローチしていく方針だという。減産規模などについては言及を控えた。
北米向けローグは九州から輸出しているほか、米国スマーナ工場(テネシー州)でも生産しており、これまでも為替変動に応じて日米で生産台数を柔軟に変えるなどしてきた。今回の関税によるコスト負担もこの仕組みを活用して軽減する。 日産は4日には関税の影響を抑えるため、4月から予定していたスマーナ工場でのローグでの減産計画を取り止めると明らかにした。当初はスマーナでのローグの生産ラインは2交代から1交代へと半減させる予定だったが、4月以降も2交代を維持している。
日本から米国に輸入される乗用車に対する関税はこれまでは2.5%だったが、日本時間3日午後1時過ぎから25%上乗せされ、27.5%となった。