米S&P500種で「デスクロス」出現、必ずしも不吉なサインにあらず

米株式市場はトランプ米大統領の高関税政策に加えて、今度は米S&P総合500種株価指数で弱気相場入りのサインとされる「デスクロス」が出現し、一段と警戒感が強まっている。写真はNY証券取引所で7日撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
Saqib Iqbal Ahmed Terence Gabriel
[ニューヨーク 14日 ロイター] - 米株式市場はトランプ米大統領の高関税政策に加えて、今度は米S&P総合500種株価指数で弱気相場入りのサインとされる「デスクロス」が出現し、一段と警戒感が強まっている。ただ、過去の歴史を振り返ると、デスクロスが起きたときに必ず株価が下げ幅を大きく広げているわけではない。
デスクロスは指数終値の50日移動平均が200日移動平均を上から下へ突き抜ける現象で、テクニカル的に短期の相場調整が長期の下落トレンドに転じたタイミングと見なされている。
S&P500種は14日、2023年2月1日以来初めて終値で50日移動平均が200日移動平均を割り込んだ。デスクロスは9日にはナスダック指数でも発生していた。
しかしLPLファイナンシャルのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、アダム・ターンクイスト氏は「デスクロスは株式市場では非常に不吉なサインとして知られているが、実際に過去にさかのぼって分析すると、デスクロスのタイミングで株を売るよりも買った方が結果的に良いことが多い」と話す。
S&P500種は過去約50年間で24回のデスクロスが発生した。ロイターがLSEGのデータを分析したところによると、全体の54%では指数がデスクロス発生前に日中最大の下げを記録していた。つまり最悪期はデスクロスの前に起きていたことになる。
残りの46%ではデスクロス後も売りがきつくなり、デスクロス発生時点から平均で19%下落した。特に1981年、2000年、2007年のデスクロスではその後の下落がそれぞれ21%、45%、55%と大きかった。
一方、バンク・オブ・アメリカのテクニカルストラテジスト、ポール・シアナ氏が過去100年近いデータを分析したメモによると、デスクロスの20日後にS&P500種が下落していた確率は52%で、平均下落率は0.5%だった。しかし30日後では60%の確率で上昇しており、平均上昇率は0.8%だった。