タワー誕生で選択肢増す新宿、歌舞伎町は進化し続ける東京の象徴だ
日本に来る外国人観光客は、「日本は景色も食事もおいしいが、夜の時間の過ごし方の選択肢が少ない」としばしば不平を漏らす。旅館に入ったら夜静かに団らんを楽しむ日本人と違って、彼らはバーやクラブ、ダンスにくり出したがる。実際、夜の街ですれ違う外国人観光客は実に多い。国籍もさまざまだ。そうした需要を新宿が満たせるのではないか。さらに選択肢が増したからだ。
新宿ばかりでなく東京の街は変化し続け、止まることを知らない。虎ノ門には、新しい東京メトロ虎ノ門ヒルズ駅も出来たし、2023年10月には虎ノ門ヒルズ ステーションタワーが開業するなど商業ビル群がまだ増えつつある。神谷町や六本木も新しい街として再生しつつある。そして東京駅周辺も東京ミッドタウン八重洲が2023年3月に登場、日本橋口には2027年に向けて日本一の高層ビル、トウキョウトーチの建設も進む。街の魅力は多い方がいい。私は豊洲にもよく行くが、日本人も外国人観光客も実によく訪れているのを感じる。そこには2024年春に、万葉倶楽部株式会社が手がける温浴施設(箱根・湯河原温泉の湯を運搬して提供)が完成する。きっと面白いエリアになる。
世界の中で、東京ほど「ヘソ(中心)」が多い街はないのに、その魅力は増殖中である。その中で10年後の新宿はどうだろう。多分、まだ驚くほど変わる。いつだって東京は進化の途上なのだ。
伊藤洋一
経済評論家、三井住友トラスト基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。 東京新聞、共同通信社、日経ビジネスなどに定期寄稿。ポッドキャスト「Bizcast」(日本経済新聞社)を毎週配信するほか、コメンテーターとしてテレビやラジオに多数出演する。
写真/殿村誠士