最新記事

韓国

「TWICEサナに手を出すな!」 日本人排斥が押し寄せる韓国でベテラン俳優が問題提起

2019年8月22日(木)18時27分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

ネットに出回る「日本国籍の韓国芸能人一覧」

日本が韓国向け半導体材料の輸出規制を発動した7月4日には、すでにミナを含むTWICEのメンバーや、『プロデュース48』で選抜されたメンバーで構成されたグループIZ*ONEの宮脇咲良・矢吹奈子・本田仁美など、韓国で活動中の日本人アイドル15名の名前が書かれた「日本国籍の韓国芸能人一覧」がSNSで出回っており、一部過激なネット住民は韓国からの排斥運動を開始しようと呼びかけが始まった。

もちろん多くのファンから、「やりすぎだ」「政治と文化は切り離すべき」という声が上がっている。しかし、日本人という国籍を通してしか物事を見られない一部の人たちは、常に偏った見方でアンテナを張り巡らし、動向をチェックしているものだ。悪気のない発言ですら、あたかも日韓関係を悪化させようとした発言であるかのように、ネット上で騒ぎ立てるのである。

TWICEの日本人メンバーのサナは、4月TWICEのインスタグラムに「平成生まれとして、平成が終わるのはどことなくさみしいけど、平成お疲れさまでした!!! 令和という新しいスタートに向けて、平成最後の日はすっきりした1日にしましょう!」と書き込み、自身の写真と共にアップした。日本人からすると、なんともない新年号へ向けてのメッセージだが、韓国のネットでは「元号自体が天皇制と連動したものであり、ナショナリズムの価値を盛っている」といったとして大炎上した。このように、韓国で活動する日本人芸能人は常にその発言や書き込みを揚げ足取りのように監視されている。

韓国の一部ネットユーザーから非難されたサナのインスタグラム投稿


排斥運動に対し「本当に愚かだ」そのこころは?

そんななか、日本人芸能人排斥について反対するかのような声が、韓国政界から上がった。正しい未来党のハ・テギョン議員は、7月4日自身のフェイスブックを通して、日本人芸能人の排斥運動に対し「本当に愚かだ」と批判した文章を発表した。一見、日本人芸能人側を守っての発言だと思いきや、「喧嘩で勝とうとするならば、味方を最大限たくさん確保しなければならない。韓国にいる日本人たちだけではなく、日本国民までも味方につければ韓国が勝つのに有利だ」とその理由を説明している。

ハ・テギョン議員は、それまでにも「日本が北朝鮮にフッ素を輸出していた」「イランに大量破壊兵器を密輸出していた」など問題発言でたびたび物議をかもしている人物である。今回のフェイスブックへの投稿も、まるで喧嘩を誘発するような勝ち負けの表現や、芸能人を自分たちが優位に立つようにスパイとして利用するかのような内容で、エンターテインメントを政治の道具としか考えていないような考えは理解しがたいものだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解

ワールド

アングル:南米の環境保護、アマゾンに集中 砂漠や草

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中