「TWICEサナに手を出すな!」 日本人排斥が押し寄せる韓国でベテラン俳優が問題提起
ベテラン俳優が排斥論に異論
日本製品ボイコットから飛び火した日本国籍芸能人排斥問題だが、一方では国籍だけで排斥するのはおかしいという反対の声も数多く上がっている。アイドルなどはファン達が中心となって応援するグループのメンバーを守る動きや、ネット上では賛成派と反対派が論議しているのを見かけるようになった。ベテラン俳優のキム・ウィソンは、自身のフェイスブックを通し、「安倍(総理)が暴れているだけで、なぜ(TWICEの)サナが排斥されなきゃいけないのか?」と発言し、「とにかくサナには手を出すな!」と付け加えた。この発言はニュースにもなり、現在4500以上の人が「イイね」ボタンを押して賛同している。
現在、韓国ではたくさんの日本人国籍芸能人が活躍している。冒頭で挙げたRocket Punchの高橋朱里やTWICEのサナ・ミナ・モモ。IZ*ONEの宮脇咲良・矢吹奈子・本田仁美。他にもNCTのユウタ、PENTAGONのユウト、ONFのU(水口裕斗)、JBJ95の高田健太、Cherry Bulletのココロ・レミ・メイ、公園少女(GWSN)のミヤ、Natureのハル、Real Girls Projectのユキカなどなど。さらに、デビュー前の練習生を入れると数えきれないほどの日本人が玄界灘を越え韓国に渡っている。
「日本人」というだけで特別視されるわけでなく、逆に今回のように政治問題に巻き込まれ、韓国国民から反感を買うリスクがあるかもしれないなか、実力ある韓国人練習生と競争してデビューを勝ち取るには相当の努力が必要だろう。彼らが大きな夢だけを糧に、自分だけを信じ、未知の世界である芸能界、しかも他国である韓国に乗り込むときの勇気は、どれほどのものか。
筆者自身もかつて、韓国へと単身で渡った者として、彼らの勇気は大切にしてやりたいと思う。ボイコットするなら個人でやるのは自由だが、周囲を巻き込んだりネットで批判するなど止めてもらいたい。そんなことのために、何年も努力を積み重ねてきた彼らを振り回すのは許されない行為だ。
※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。