「TWICEサナに手を出すな!」 日本人排斥が押し寄せる韓国でベテラン俳優が問題提起
未来のK-POPスターを目指してソウルの若者が集まるエリア弘大の路上でパフォーマンスをする日本人練習生 REUTERS/Kim Hong-Ji
<近年、K-POPの世界に日本の若者たちが身を投じて活躍しはじめたが、日韓関係が急速に悪化し、日本人芸能人排斥論が彼らを苦しめている──>
また一人、国境を越えて夢をつかんだアイドルが誕生した。今月7日、元AKBの高橋朱里が、6人組のK-POPガールズグループ「Rocket Punch(ロケットパンチ)」のメンバーとしてデビューした。
高橋朱里は、2012年からAKBのシングル代表曲の選抜メンバーとして活躍し、AKB総選挙では最高11位を記録。また、日韓で企画制作されアジア各国で放送されたオーディション番組『プロデュース48』でも最終16位に入っており、日韓でともに人気を集めていた。今年の3月にAKBを卒業し、韓国でデビューすることが決定したのだが、最近では連日のように日本製品ボイコットや不買運動などが叫ばれるほど日韓関係悪化のニュースが賑わっているなかでの日韓混成アイドルのデビューだ。注目度が上がったのは言うまでもなく、実際デビューショーケースでは、韓国メディアの記者から「日韓関係が悪い中、韓国デビューをする心境は?」といった質問が出るなど、多くの質問は高橋に向けられたものだった。
ストレスで活動休止したTWICEミナ
ここ最近、韓国では日本人芸能人排斥の波がじわじわと押し寄せている。日本でも活躍中のTWICEのミナは、先月5日、日本の音楽番組出演のため他のメンバーとともに日本に来たものの、体調不良のため出演を取りやめ、13日シンガポールで行われたワールドツアーの参加も見合わせた。所属事務所JYPエンターテインメントは14日「ミナは突然の極度の心理的緊張状態と不安感で舞台に立つことができなくなった」と発表。同時に「公知させて頂いたミナの健康状態及び、これと係わる他のメンバーに対する悪性な書き込みが、アーティストに対する誹謗、名誉毀損に至るほどに深刻な状態であるのを確認した。法的措置を即刻で講ずる」とも宣言している。
このことから、ミナの今回の不参加は「日本人芸能人排斥運動に対する精神的ストレスではないか」とも言われている。確かに、日本との関係がこじれるにつれ、韓国では日本製品不買などのボイコットが始まり、その後日本人アーティストへのネット上での批判がひどくなっているのは明らかだ。ミナは大阪の自宅で休養後、8月1日に韓国に戻ったが、到着した空港で涙を流す姿に多くのファンは心を痛めた。
他にも、元AKBの竹内美宥は、7月に韓国で歌手デビューを控えていたが延期が発表された。プロデューサーのユン・ジョンシンは、SNSを通じて、日韓関係悪化とその影響が延期の原因と発表している。このように日韓関係は政治だけにとどまらず、じわじわと両国の芸能界にも影響し始めている。