最新記事

パックンのお笑い国際情勢入門

ウーマン村本×パックン「原発や基地をやるきっかけは堀潤さん」

2019年8月7日(水)17時05分
ニューズウィーク日本版編集部

パックン いつですか。

村本 2017年の12月ですね。原発とか、「思いやり予算より沖縄に思いやりを持て」とか、辺野古とか。友達から教えてもらい、共有した怒りをぶつけたいと思っただけですが、そうしたら朝日新聞や東京新聞の取材が来たり、沖縄に行ったときにたくさんの人に囲まれて「ありがとうございます」、タクシーに乗っても「ありがとうございます」って言われたりした。お笑いでちょっと触れただけで、こんなにも喜ばれるのは何なんだろうと思った。でも、海外では当たり前だという話を聞いたり、秋元康さんにご飯に連れていってもらったときに、ジョージ・カーリンの話を聞いたりして。

magSR190807muramoto-1-3.jpg

HISAKO KAWASAKI-NEWSWEEK JAPAN

「社会問題は、そんなのお笑いじゃないって言う」

パックン カーリンはアメリカの有名なコメディアン。知らなかった?

村本 知らなかった。それでジョージ・カーリンのネタを見たときに「何なんだこれは」と震え上がった。でも日本であれをやったら、「お笑いじゃない」と言われると思う。ただ、そう言うのは、幼稚な人たちなんです。それでジョージ・カーリンからレニー・ブルースデイブ・シャペルクリス・ロックとかトレバー・ノアとか、アメリカのお笑いを見るようになったら、「あれ、日本のお笑いと何か違うぞ」と。

この前カナダに行ったとき、現地の人から「日本はヤフーの芸能ニュースのアクセスランキングが世界1位なんでしょ」と言われた。海外メディアがネタにしてたんですって。漫才をしていても、原発といった言葉を出すとお客さんの顔が固まる。授業を受けているみたいに、「そんなの聞きに来たつもりはない」という顔をする。社会問題については、そんなのお笑いじゃないって言うんですよ。ただ僕の中では、そう言うのは幼稚な人たちなんです。

日本人ってすごく働くじゃないですか。自分の仕事に直結すること以外のものに触れるには、時間が足りないんじゃないかと思ってる。

パックン アメリカ人も結構忙しいんだけど、芸能ネタよりも政治ネタで発散するかもしれないです。

村本 不満があればね。

パックン 日本人は不満が少ないのかな? それなりにうまくいっている国だからというのもあるか。

村本 でも民主主義を持て余してますよね。選べるのに選ばない。選べるのに選べることに感謝しない。先日、ヨルダンのシリア難民キャンプで授業をしている女性から聞いたんですが、クラスが荒れているので、日直を導入して責任を持たせようとした。誰が日直をやるか選びましょう、と言ったら、上の人間から「選べるということを教えるな」と怒られたらしいんです。

パックン この国に民主的な選挙はないから、っていうこと?

村本 シリアに戻ったときに、「俺たちは選べるんだ」ということになるのが怖いんです。

日本は自由に選べる。でも選べるのが怖くて、選択肢が増えるのが怖いわけですよね。カナダのお笑いの劇場でトイレに行ったら、男女一緒だったんです。トランスジェンダーの人に選ばせるわけにはいかないから、一緒にしたんですと言ってた。すごいなと思って。吉本の劇場も楽屋のトイレは男女一緒なんですよ。それは予算の都合なんですが。

パックン 微妙に違うね......。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独GDP改定値、第3四半期は前期比+0.1% 速報

ビジネス

独総合PMI、11月は2月以来の低水準 サービスが

ビジネス

仏総合PMI、11月は44.8に低下 新規受注が大

ビジネス

印財閥アダニ、資金調達に支障も 会長起訴で投資家の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中