初心者が知らない、勝ち続ける投資家が必ず守る「ルール」
■「事件は売りではなく、むしろ買い」
自分が保有する銘柄に何らかの事件・事故が起きたとき、大慌てで売却する人も多いでしょう。ところが、ベテラン投資家のBさんは、保有銘柄に不正会計取引の疑いが生じたときも、涼しい顔をしています。それどころか、「事件が起きても売却しません。むしろ買い増しのチャンスです」と言うのです。
株式相場には、「事故は買い、事件は売り」という格言があります。突発的な事故は、短期的には企業の業績に影響を与えたとしても、その後は回復するケースが多いので「買い」だが、事件の場合は企業の体質が問題視されることが多く、影響が長期化する可能性が高いため「売り」だということです。
しかしながら、この格言が当てはまるかどうかはケースバイケースです。
企業に何か事件が起きたとき、それに乗じた売り仕掛けから機関投資家が一旦手放す動きをするため、株価はオーバーシュート気味(大幅下落)になります。しかしながら、その後にV字回復するケースも多く、一概に「事件は売り」とは言えないのです。
●カプコン<9697>
2020年11月、家庭用ゲームソフト開発大手のカプコン<9697>に、不正アクセスによる情報流出が起きたと報じられ、株価は11.6%下落しました。しかし、巣ごもり需要で業績はすこぶる好調だったことから株価はあっと言う間に回復。事件発覚直後はむしろ絶好の買い場となったのです。
事件や事故で株価は急落するものの、大底をつけると、売られすぎを修正する動きが出ます。業績に与える影響が明らかになると投資家の警戒感が解け、買い戻しに転じるのです。損失が広がらない場合や企業の競争力が高い場合には、このリバウンド力が強くなります。
もちろん、株価が下げ止まらない場合や、そのまま上場廃止に追い込まれるケースもあります。特に、事件を起こした企業のリスクが大きいことは、常に念頭に置いておいたほういいでしょう。
それでも、事件が起きたからと言って必ず手放すべきだということではなく、むしろチャンスになる場合もあることは、相場が教えてくれる重要な事実なのです。
人が売るときに買い、人が買うときには売れ──ウォール街の古い格言