初心者が知らない、勝ち続ける投資家が必ず守る「ルール」
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<たとえマーケットでは常識でも、自分のルールに反することは決してしない。個人投資家のマイルールには、成功へのヒントが詰まっている>
勝ち続ける投資家の密かな決め事
刻々と変わる株式相場では、周囲に流されず、粛々と取引を実行することが成功の鍵。そのことを身をもって体験している投資家ほど、独自の売買ルールを持っています。
たとえマーケットでは常識でも、自分のルールに反することは決してしない。個人投資家のマイルールには、成功へのヒントが詰まっています。
■「PER70倍以上の銘柄は買わない」
成長株投資で有名なAさんのマイルールは「PER70倍以上の銘柄は買わない」。成長株ではPER100倍以上もゴロゴロあるはずなのに、PER70倍以上は買わないとは一体どういうことなのでしょうか?
PERとは株価収益率のことで、株価が1株あたり利益(EPS)の何倍で買われているかを見る尺度です。PERが高いほど株価が割高、安いほど割安と判断されます。
●PER=株価÷EPS(1株あたり利益)
一般的に、PERは15〜20倍が適正といわれます。ただ、急成長している企業の場合は、投資家たちの期待がプレミアムとなって株価に上乗せされるため、なかには100倍以上の非常に高いPERがついてもなお買われる銘柄もたくさんあります。
しかしながら、異常に高いPERは、投資家の期待が高まり過ぎたことの裏返し。膨らみすぎた風船は、わずかな刺激で爆発する危険性があるのです。
それに対して、仮に成長株の利益が次期以降も3割で伸び続けるとした場合、足元のPERが70倍であれば、5年後のPERは19倍で適正範囲になります。つまり、5年後までの成長を織り込んで現在の株価を評価するなら、PER70倍であっても決して高すぎるということにはなりません。
だから、将来の利益水準から割り出すなら「PER70倍までが妥当な範囲内」。これが、Aさんのマイルールの根拠なのです。
●テスラ<TSLA>
2020年にはテスラ<TSLA>が大きなブームとなりました。言わずと知れたアメリカの電気自動車メーカーで、現在の世界を代表する成長銘柄です。コロナ禍で株価が急上昇するとともにPERもぐんぐん伸びていき、Aさんが検討を始めた時点のPERは800倍にまで達していました。
PERは、「投資資金を回収するまでにかかる期間」を示す数字でもあります。PER800倍ということは、投資資金を回収するには8世紀(800年)かかるということ。たしかにテスラの将来性は魅力的に映りましたが、結局、Aさんはマイルールに従って購入しませんでした。
加えて、異常なまでに高PERの銘柄は、その期待された成長が鈍化した場合には一気に大暴落するリスクがあります。さらに、金利が上昇すると真っ先に売られるなど、高PER株ならではのデメリットもつきまといます。事実、テスラの株価はその後ピーク時よりも3割以上も下落してしまいました。
「その株を買うためならいくらでも払う」という状況はマーケットが過熱している証しであり、そこには危険が伴います。たとえ周りの全員が買っていたとしても、自分自身が納得できる妥当なリスクの範囲内でなければ手を出さない、という心がけは(とても難しいですが)非常に大切です。
市場を支配しているのは数字ではなく、人間の心理だ──ジョージ・ソロス