敏感すぎる人に伝えたい、HSP当事者の心理学者による「強みに変える」方法
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<光や音などの刺激に鋭く反応して動揺する、相手の気持ちを敏感に察知しすぎて苦しい。これは「敏感すぎる人=HSP」の特徴。日本でも急速に認知されつつあるHSPだが、その敏感さは障害ではなく、大切に育てるべき特性だという>
同僚がキーボードを叩く音が気になって仕方がない、暴力シーン満載の映画を見ると何日も眠れなくなる、友人の悲しみに共感し過ぎて涙が止まらない。
他のみんなは平気そうなのに、どうして自分だけ......。人知れず、そんな悩みを抱えている人はいないだろうか。
人混みや騒音、光、触感、匂いなどの刺激に鋭く反応して動揺を抑えられない、相手の気持ちを敏感に察知しすぎて苦しい、といった反応は、実は異常でもなければ、レアケースでもない。
心理学者のエレイン・アーロンによれば、これは「敏感すぎる人=Highly Sensitive Person、略してHSP」の典型的な特徴。性格や「気の持ちよう」とは別次元の先天的な特性で、男女ともにおよそ5人に1人がHSPに該当するという。
アーロンが1996年にHSPの特徴をまとめた著書を出版すると、「まさに自分のこと!」「長年の悩みの原因が分かった」などという反響が相次いだ。
心理学者でライターとしても活躍するデボラ・ワードも、HSPという概念に出合って救われた1人。
カナダで育ち、現在はイギリスを拠点とする彼女は、幼い頃から敏感すぎる自分に劣等感を抱いてきたが、HSPについて学び、その特性を前向きにとらえられるようになったおかげで、徐々に自尊心を取り戻し、仕事も人間関係も好転したという。
そんな彼女が、HSP当事者としての体験を織り交ぜながら、最先端の研究成果を分かりやすく解説した新著『敏感すぎるあなたが生きやすくなるヒント』(井口景子・訳、CCCメディアハウス)が出版された。
11章からなるこの本には、HSPを理解するための基礎知識と共に、その特性とうまく付き合い、強みに変えるための処方箋がふんだんに盛り込まれている。
最善の方法は、泣いて、話をして、さらに泣くこと
ワードによれば、HSPが刺激に敏感に反応するのは、「周囲の環境から常に情報を吸い上げ、さらに他人の緊張や感情まで敏感に感じ取る」力が人一倍強いから。
おかげで、思いやりや共感力が高く、創造性に恵まれているといった特徴があるが、「強い刺激を浴びすぎると、濡れたスポンジがそれ以上水を吸い込めないように『いっぱいいっぱい』な気分」になり、疲れ切ってしまう。
しかも困ったことに、こうした心の動きは外からは見えにくく、HSP本人も不安や動揺を他人に悟られないように振る舞いがち。
その結果、周囲の人から「細かいことを気にしすぎ」「いちいち大げさに反応しないで」などといった否定的な言葉を浴びせられ、自己肯定感が損なわれていくケースが非常に多い。
ワード自身も子供時代から、自身の敏感さを押し殺して友達と同じように振る舞おうとしては失敗し、さらに落ち込むという経験を繰り返し、「自分はダメな人間だ」という思いを募らせていったという。