最新記事

メンタルヘルス

敏感すぎる人に伝えたい、HSP当事者の心理学者による「強みに変える」方法

2021年2月3日(水)11時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

hspbook20210203-2.jpg

AntonioGuillem-iStock.

だが、HSPの敏感さは本来、「決して克服すべき障害ではなく、大切に育てるべき特性であり、強さの源」だと、ワードは説く。

実際、自身の敏感さを「弱さ」ではなく「強さ」だと受け止め、HSPならではの豊かな感受性やクリエイティブな才能を発揮して活躍している人も大勢いる。

そのためには、どうすればいいのか。ワードは著書の中で、自己嫌悪の悪循環を断ち切って前向きな一歩を踏み出すために必要な心構えや行動について、段階を踏んで具体的なアドバイスをしている。

例えば、「強い刺激を浴びると激しく動揺する」という特徴とうまくつきあうための心構えとして、ワードは「自分を大切にする」「泣いてもいい」といった項目別にアドバイスを贈る。


 HSPはさまざまな感覚的・感情的刺激を経験しますから、それによって得たエネルギーを解き放つ必要があります。「泣く」という行為については、女性のほうが文化的に許容されやすいようですが、男性も女性と同じく、感情を表現する自由を自分に認めてあげて下さい。
 私は人前で泣くのは好きではありませんが、自宅に帰って涙とともにすべてを吐き出すと、気分がすっきりします。感情をため込んで、強い人間であろうとするのはやめましょう。感情を無視しても、その思いが消え去ることはなく、むしろ時間とともに積み重なっていきます。
 にぎやかな店での買い物であれ、離婚であれ、職場での嫌な一日であれ、ストレスだらけの出来事を乗り切る最善の方法は、泣いて、話をして、書き出して、涙が出なくなるまでさらに泣くこと。気持ちを吐き出すには、この方法しかありません。(45ページ)

その上でワードは、「休憩時間を確保する」「計画を立てる」「健康的な食習慣」「一人の時間を持つ」「買い物はオンラインで」といった具体策も提示する。

愛する人を助けるために、助言はしてはいけない

一方、自尊心の低下という難問については、「思考パターンを変える」工夫を提案している。


 人間の行動や決断、人生の選択はしばしば、無意識の信念に左右されます。あなたの現状を人のせいにするのはやめましょう。そして、頭の中に響く否定的な言葉を信じないこと。自分を肯定できるようになれば、人生は明るい方向に向かいます。
(中略)
 私は、自分を抑え込もうとする思考に意識的に注目し、思考パターンを変えようと意識的に努力しました。その際に役立つのが、頭に浮かんだことに疑問を投げかける方法。例えば、「私はバカだ」「絶対にうまくいかない」という言葉が思い浮かんだら、「それが本当か」と問いかけます。そうした言葉はおそらく、以前に誰かに言われたものであり、あなたの本質ではありません。「私は本当にバカなの?」「本当にうまくいく見込みはない?」と自問し、反証を探しましょう。必ず見つかるはずです。(118ページ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上

ワールド

ガザ支援搬入認めるようイスラエル首相に要請=トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中