新卒1カ月で無職になった彼女を、Forbes選出の起業家に変えた1冊の本
初めてこの本を手に取ってから約10年がたった今も、書かれていることを意図的に実践していると話す田中さん。そうすることで2020年は、思ってもいなかったチャンスに恵まれたと教えてくれた。
Waffleは女子中高生向けの IT教室と政策提言を進めているのですが、2020年に入ってユース団体と一緒に政府に直接、政策提言をする機会が訪れたんです。
SNSで流れてきた「#男女共同参画ってなんですか」というプロジェクトの「男女共同参画基本計画素案への、ユースからのパブリックコメントを募集しています」というつぶやきがきっかけで、ユース団体の皆さんと橋本聖子大臣に直接声を届ける機会を頂きました。
でもそれは政策提言をしたいという気持ちからではなく、つぶやきに対して「何かできることがあったら協力します」という、ギブの気持ちを示したことで実現したんです。
この本(新版)で、第8章「レモネードがヘリコプターに化ける」の中の、幸運を自分で呼び込むための方法が紹介されている部分がすごく好きなのですが、その中に「他者との有意義な関係がチャンスを呼び込む」と書かれていて。まさにその通りになったと実感しています。
田中さんは現在、IT教育だけでなく、「社会課題をモバイルアプリで解決しよう」をテーマにしたアプリコンペ「Technovation Girls」をはじめ、次世代の女性IT起業家を育成するために、より踏み込んだアプローチを始めている。
老若男女を問わずスマホを持ち、AIやIoT(モノのインターネット)が浸透しつつある時代の中、リーダーシップと起業家精神、ITスキルで可能性を解き放つ女性たちを育成していくことが目標だ。
私はテレビ番組の制作会社を1カ月で辞めた後、再就職もできず、自分が思い描くようなキャリアを築けませんでした。それでも「起業して社会に影響を与えられる人間になるのだ」という夢を、絶対に諦めなかった。
諦めなかったことで、起業してわずか1年でForbes JAPANから選出され、日本政府主催の「ジャパンSDGsアワード」も受賞できた。今後は経済的格差や機会の格差を埋めるために、学校や自治体との連携を図っていくつもりです。これからも『20歳のときに知っておきたかったこと』から学んだことを胸に刻み、日々邁進していきます。
『新版 20歳のときに知っておきたかったこと
――スタンフォード大学集中講義』
ティナ・シーリグ 著
高遠裕子 訳
三ツ松新 解説
CCCメディアハウス
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)