最新記事
ビジネス

ベトナム依存、トランプ関税でNIKEなどスポーツ用品会社に打撃...「人は衣料品のコスト増に敏感」

2025年4月3日(木)08時07分
ロンドンのウェンブリー・スタジアム近くのナイキショップ

ブランド再生と売上反転に取り組む米スポーツ用品大手ナイキにとって、ベトナムからの輸入に対する米国の関税は新たな試練となりそうだ。写真は、ロンドンのウェンブリー・スタジアム近くのナイキショップの入り口。2024年3月、ロンドンで撮影。Action Images提供(2025年 ロイター)

ブランド再生と売上反転に取り組む米スポーツ用品大手ナイキにとって、ベトナムからの輸入に対する米国の関税は新たな試練となりそうだ。

トランプ米大統領は2日に、国内生産を促進し、他国に米国製品をより多く購入させることを目的とした新たな関税の対象国と製品を発表する見込みだ。米国との貿易黒字が1235億ドル(約18兆5千億円)あるベトナムは主な標的になるとみられている。


 

ナイキは、ベトナムの生産拠点に依存するスポーツウェアブランドの一つだ。関税が引き上げられれば、コスト上昇分を吸収するか、在庫一掃のために一部商品を割引販売している中で、価格を引き上げることを余儀なくされる。

ナイキの年次報告書によると、同社は2024年度に靴の50%と衣料品の28%をベトナムで生産。ライバルのアディダスの依存度はやや低く、靴の39%、衣料品の18%をベトナムで生産している。

デラウェア大学のシェン・ルー教授(ファッション・アパレル研究科)が1月の貿易データに基づいて算出したところ、ベトナム産の靴に対する米国の平均関税率は13.6%、衣料品に対する関税率は18.8%となっている。

「もし関税が拡大されれば、ナイキは問題を抱えることになる」と投資評価機関モーニングスターのアナリスト、デビッド・シュワルツ氏は語った。ナイキとアディダスだけではない。アパレル各社が中国への依存を減らそうとする中、ベトナムはハイテクのランニングシューズ、スポーツウェア、アウトドア衣料品の生産拠点となってきた。

ルルレモン、コロンビアスポーツウェアおよびサロモンやアークテリクスを所有するアメアスポーツも、最大の製造国はベトナムだ。

ビジネス
栄養価の高い「どじょう」を休耕田で養殖し、来たるべき日本の食糧危機に立ち向かう
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:経済対策要求、参院選にらみ与野党で林立 規模

ワールド

ベトナム政府、トランプ関税回避へ中国製品の取り締ま

ビジネス

英中銀、6億ポンド規模の長期債入札を延期 市場の混

ワールド

米国の天然ガス、今年は生産と需要が過去最高に=EI
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 3
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が見せた「全力のよろこび」に反響
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 10
    右にも左にもロシア機...米ステルス戦闘機コックピッ…
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 7
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 8
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 9
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 10
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中