中国経済に絶望するのはまだ早い
だが、これらの評価はあまり信頼できない。第1の理由は、自社の利益が第一の多国籍企業や中国の成長に眉をひそめる外国企業・政府の視点を主に反映しているからだ。アナリストも高級品や電気自動車(EV)のように、中国国民が直面する課題とは関係のないごく一部のセクターに焦点を当てる傾向がある。
第2の理由は、こうした分析に証拠がないことだ。例えば外国の政策担当者は中国での消費の低迷をことさら重要視しがちだが、そもそも国内消費が成長を促進するという仮定には大いに議論の余地がある。
デフレリスクへの過度の懸念も、デフレが景気低迷につながるという前提から生まれている。だが、デフレが景気低迷の「症状」ではなく「原因」だという確かな証拠はない。中国でも日本でも、デフレと景気低迷は急激な人口高齢化など別の問題が引き起こしている可能性が高い。
経済動向の原因と結果に関する不十分な理解は、方向性の誤った、あるいは逆効果となる政策につながりかねない。一例が預金金利の引き下げだ。
貯蓄に対する見返りを減らすことで消費を促そうというものだが、この政策は多くの中国人をさらに貧しくするだけだ。加えて不動産の価値も下落すれば、家庭はむしろ貯蓄を増やそうとするだろう。子供をつくるのもためらうようになり、人口減少が加速する恐れがある。