中国経済に絶望するのはまだ早い
中国経済の評価をめぐるもう1つの問題は、西側諸国ではなじみのある政策が中国でも有効だと仮定することだ。中国のファンダメンタルズ(基礎的条件)が西側とは大きく異なるという事実を無視している。
違いの一例が土地所有の問題だ。中国の総土地面積の55%は農地であり、地方政府が直接管理しているか農家に貸している。都市部の個人所有の住宅も、土地部分は地方政府のもので住宅所有者が借りている。
多くの国の国民は仕事の必要やライフスタイルに合わせて住む場所を自由に選べるが、中国では国内移住について厳しい規制がある。富裕層や高学歴者を除き、大半の人々が国内を移転することは非常に難しい。
さらに大半の中・高所得国の学生は、自分の才能や興味を徐々に発見し、高校卒業後に大学を受験するかどうかを決めることができるが、中国は違う。競争が激しく中央集権的な教育制度のため、人生のかなり早い時期から学業に投資し、集中的に勉強に取り組まなくてはならない。
このような制限はほかにも数多く、中国の庶民の経済生活を左右する。