最新記事
中国

中国経済に絶望するのはまだ早い

2024年12月24日(火)19時38分
ナンシー・チエン(米ノースウェスタン大学経済学教授)
北京の名所「鼓楼」

北京の名所「鼓楼」で大きな扉の隙間から向こう側をのぞく子供 KEVIN FRAYER/GETTY IMAGES

<悲観的な見方は根拠が薄い。土地、資本、労働力の市場主導による配分を進めれば、再び成長の波が起こる可能性はある>

新しい年の世界の経済と地政学がどう動くかは、世界最大の輸出国で第2位の消費市場である中国次第で大きく変わるだろう。しかし中国経済の健全性に関する一般的な評価には、大きな誤りがある。

2024年、中国経済をめぐる報道には明暗が入り交じっていた。中国のGDPは成長を続けているが、その正確な成長率は常に議論の的となっている。23年6月に21.3%を記録して政策担当者を震撼させた若年層の失業率は、24年9月に17.6%まで低下した。


直接的、間接的に中国経済の3分の1を占める不動産市場の危機は、ようやく落ち着きを見せ始めたが、これは政府が大胆な介入策を打ち出したことで取引が増加に転じたためだった。

一つ言えるのは、今の中国経済には過去30年間の活力が失われているということだ。中国の家庭が高い貯蓄率を維持し続けているため、消費の伸びは鈍い。

外国人投資家の中国に対する信頼感は、過去最低の水準とされる。さらに物価が下落するなかでデフレスパイラルへの懸念が高まっており、1990年代から経済が長期の停滞に入った日本と同じ道をたどるともみられている。こうした状況から、中国経済は既にピークを過ぎたという見方が出てきた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、トランプ氏の発言歓迎 ウクライナのNATO

ビジネス

日産、ホンダとの統合協議を白紙に 取締役会が方針確

ビジネス

仏サービスPMI、1月は48.2に下方改定 5カ月

ビジネス

日産取締役会が終了、ホンダとの統合協議を白紙に戻す
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 2
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 5
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 6
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 7
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 9
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 10
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中