周りを生かせず孤軍奮闘してしまう人へ...「お通夜」会議をなくす「問いかけ」の手法
安斎勇樹氏 Yuki Anzai
<チームの力を合わせて個人の力以上のものを出したいが、いざ会議の場ではみんな「だんまり」してしまう──。そんな時は「問いかけ」を見直すべきだ>
※このインタビュー記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。
「なかなかアイデアが出てこない」「気まずい沈黙が続く」......。そんな「お通夜」ミーティングに悩まされるビジネスパーソンは少なくないのではないでしょうか。オンライン会議の普及により、対面と比べて相手の表情や気持ちがわかりにくくなったとの声も聞かれます。
しかしそのお悩み、ちょっとした「問いかけ」の工夫で一気に解消されるかもしれません。東京大学大学院情報学環特任助教で株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO、安斎勇樹さんが2021年12月に刊行された『問いかけの作法』(以下、本書)は、練られた問いによる問題解決の手法が満載です。
HRアワード2021最優秀賞を受賞した前作『問いのデザイン』とともに、本書の魅力を安斎さんにインタビューで伺いました。
周りの力を引き出せない人へ
── 本書は主にどういった課題をお持ちの方、企業に有用とお考えでしょうか。
基本的には、チームを運営しているプロジェクトリーダーやマネージャーの方、自分の力だけで成果を出すのではなくチームの力を合わせて個人以上の力を出したい人を念頭に置いています。
本書でも触れましたが、優秀な人ほど周りがついていけなかったり、メンバーの主体性が自分に比べて足りなく思えてやきもきしたりしてしまうものです。その結果、「自分が頑張るしかない」という気持ちになって孤軍奮闘し、周りの力をうまく生かせない、そう悩まれている方々に向けて書きました。
── そういった職位の方々なので、想定される読者の年齢層も幅広いですね。
そうですね。読んでいただいている方は、20代からエグゼクティブ層までさまざまだと感じています。
「こだわり」を育て、「とらわれ」を疑う
── 本書には、質問の精度を上げる強力な問いかけ手法として「フカボリモード」と「ユサブリモード」の2つの問いかけモードがあるといった、ユニークな表現が多く見られます。特に思い入れのある表現があればご紹介ください。
そうですね。その「フカボリモード」と「ユサブリモード」も気に入っている言葉ですが、その前提にある「こだわり」と「とらわれ」というワーディングをご紹介したいと思います。
両方、ひらがなとカタカナだけにしたのにはわけがあります。前作『問いのデザイン』は、読んでくれた方に「研究者の書いた、小難しい本だ」といった感想をいただきました。その意地もあって「漢字を一つも使わずに説明しよう」という思いを込めたワーディングでもあります。