ロシアのウクライナ侵攻がアフリカを翻弄 パーム油高騰が生活直撃

アビジャンでジェネバ・ベレムさんが営むフライドビーンケーキ(豆を使った揚げ物)の屋台は、パーム油の価格高騰という形で戦禍に翻弄されている。写真はアビジャンの屋台。4月12日撮影(2022年 ロイター/Luc Gnago)
アフリカのコートジボワールはウクライナから遠く離れている。しかし、実質的首都のアビジャンでジェネバ・ベレムさんが営むフライドビーンケーキ(豆を使った揚げ物)の屋台は、パーム油の価格高騰という形で戦禍に翻弄されている。
「もう売るのをやめたいと思うくらい。だって油の値段がこんなに上がったら儲けが無くなってしまう」。鍋の中の揚げ物をかき回しながらベレムさんは語った。
ロシアもウクライナも、熱帯の産物であるパーム油の生産国ではない。しかしロシアによるウクライナ侵攻は、複雑に絡み合った現在の世界経済にドミノ倒しのように影響を広げている。
戦争を一因としてパーム油の価格は過去最高値に跳ね上がった。パーム油はナイジェリアのジョロフライス(ピラフ)からコートジボワールのバナナフライまで、アフリカの食卓には欠かせない食材だ。
パーム油の輸出国インドネシアはこのほど、国内のパーム油価格の高騰を抑えるために輸出禁止に乗り出した。
「こんな状況に直面したのは初めてだ」と語るのは、農産物コンサルタント会社、LMCインターナショナルの創設者、ジェームズ・フライ氏。「衝撃をまともに食らうのは、大国の最貧困層やアフリカ諸国だろう」と言う。
実際、アフリカのサブサハラ(サハラ砂漠以南)では、家計支出に占める食費の割合が既に40%に達している。この割合は世界のどの地域よりも高く、先進国の17%に比べると倍以上だ。
燃料を含む幅広い価格が急上昇し、新型コロナウイルスのパンデミックによってアフリカで数千万人が極度の貧困に追いやられているところに、パーム油の価格高騰が加わったことで、多くの人々は厳しい選択を迫られるだろう。
ケニアの首都ナイロビで美容業界コンサルタントとして働くルーシー・カマンジャさんは、パーム油を使った調理油の価格が90%も上がったため、果物や生活必需品代を削らざるを得なくなった。
「本当に心配。食品価格が2倍ぐらいに上がってしまい、これからどうなってしまうのか」とカマンジャさん。「どうやって食いつないでいけばよいか」と嘆いた。
ひまわり油も
ロシアのウクライナ侵攻以前から、インフレは世界的な懸念事項だった。国連食糧農業機関(FAO)によると、昨年の食品コモディティ価格の上昇率は23%強と、過去10年余りで最も高かった。
3月のFAOの世界食料価格指数(食肉、乳製品、穀物、砂糖、油)は前月比12.6%も上昇し、指数公表が始まった1990年以来の最高を記録した。
中でも食用油は大きな打撃を被った。