SkillだけでなくWill、MustよりWant、だから「プロセスエコノミー」はこんなに楽しい
例えば、空を見て「きれいだな」と思ったら、それを撮ってツイッターでつぶやけばいい。それだけのことです。
僕の好きな言葉として、(経営共創基盤(IGPI)グループ会長の)冨山和彦さんが以前、「憤りは志に通じ、憧れは夢に通じる」と話されていました。
── 憤りと憧れですか。
はい。世の中に足りていないことやつらいことが多いときは、憤りを溜めて「こんな世の中じゃダメだ、だったらこうしよう」と志に変え、その志の力で仲間を集めて動くということはありますよね。今もマイノリティの問題やコロナ禍など、憤りをマグマのように溜めて志に変え、世の中を変えていくという動きは見られます。
それとは別に、もう1つ、「なんかこれいいな」という憧れ。ただ「美しい」「好き」というものを共有することも大切です。そのギブをしているうちに、夢に近づいていく。
そこには我慢、マストはありません。自分がマストと思っているうちは、他の何かに支配され、他人に言われている役割を、自分で義務化してしまっている状態です。その時点で、それは夢ではありません。
憧れ、夢で生きるには、マストを感じたら、そのマストのウォント(Want)に立ち戻るべきです。「やらねば」と感じたら、「やらねば」ではなく「やりたい」に戻る。常に「楽しい」に立ち戻ることが、プラスを増やしたいときのプロセスエコノミーの作り方です。
読書法は2種類
── 普段から大量のインプットをしていらっしゃいますが、どのようなときに読書をされているのでしょうか。
基本的には、読書には2種類あると思っています。
1つは、読む目的が決まっていて、目的に対して「知」を圧縮してくれている本がものすごい近道であり、本が羅針盤になるという読み方です。
もう1つは、ただ他人が作った美しい、濃密な世界にたゆたってみる、浸るというやり方です。海外旅行に行くような感覚で、別世界に行くための読書です。
前者はリサーチと一緒で、目的さえ決まれば一気に20冊ぐらい並行して読んでいます。まず、大きな書店に行き、各書のタイトルを見るようにしています。すると、そのジャンルに関して著者が世の中に発信したいこと、読まれたいことが分かります。ちょうど新聞の見出しを一覧で見るのと同じような感覚です。世の中、あるいは新聞社がその記事をどの程度で扱っているかという土地勘が養えます。
同じように、書店で、棚にどのような本が何冊置いてあるか、これは平積みか、といった情報から「世の中はこのジャンルにニーズがある」という「地図」を手に入れられます。
僕の場合、1つのテーマ・ジャンルに関して、幅広く20冊ぐらいピックアップします。そのうえで、マインドマップを作成し、目的に沿ってどの辺りを深掘りしていこうかと考えていきます。