大寒波予測で韓国ロッテのホームショッピングが大当たり IBMのAI活用、予算比300%を達成
1月12日、寒波に襲われた韓国ではホームショッピングでロングダウンコートが飛ぶように売れた。写真は12日、ソウル中心部で撮影。REUTERS/Kim Hong-Ji
<コロナ禍に加えて例年になく寒い日が続き、ステイホームする人に向けたビジネスが熱い>
今年は、大雪により高速道路でのクルマの立ち往生のニュースや、雪による停電など雪災害対策の大切さを改めて考えさせられる冬となった。お隣の国、韓国でも今季は日本と同様に大雪に見舞われた。比較的暖かいはずの済州島でも、今年は1月上旬から大雪・強風注意報が出されるほどだったという。
大雪への対処は、降り出してからももちろんだが、事前の天気予測も重要である。とくに、それが売り上げを大きく左右するビジネスならなおさらだろう。最近韓国では、天気予測を人工知能AIに行わせて豪雪をピタリと当て、売り上げを大きく伸ばすことに成功した企業が注目を浴びている。そのビジネスとは、TVホームショッピングである。
6カ月先まで1日ごとの天気を予測
昨年7月、ロッテ・ホームショッピングは、韓国IBMとAI基盤気象予測システムについて業務協約を結んだことを発表した。AIに天気を予測させることにより、なんと6カ月先までの1日単位の天気はもちろん、最高気温/最低気温/平均気温/降水量など細かな情報までもが割り出せるという。
さらに、ロッテ・ホームショッピングは、商品の売り上げ結果と天気を照らし合わせたデータをAIに学習させることにより、今後は気象状況別の商品需要予測まで展開し提供していく予定だと発表していた。
そして、AI気象予測が導入から約6カ月がたった今冬。ロッテ・ホームショッピングは、この大雪を事前に予測し、売り上げに大きな成果を出している。
放送2週間前に商品決定が必要なホームショッピング
具体的な例でいえば、今月2週目と3週目は大雪と共に、気温がかなり冷え込むことをAIが予想していたため、厚めの暖かい寝具、温水マットなど暖房商品を主力とし、ホームショッピングでは欠かせない衣料品も冬物の肌着、起毛生地商品、暖かいコートなどに緊急商品変更をして販売したという。
さらに、大雪警報の出た12日には、羊毛コートやロングダウンジャケット、起毛パンツをメインに販売し、売り上げを大きく伸ばしたそうだ。
通常のホームショッピングでは、放送日の何日前から販売商品の決定を行わなくてはならないのだろうか? 一般的にホームショッピング業者は、約2週前に商品の決定を終えなくてはならないという。いくら生放送で紹介するとはいえ、商品の仕入業者との商談を済ませ、放送の準備、価格設定などをあらかじめ協議しておく必要があるからだ。
特に、衣料品や冷暖房器具などは、天気に大きく左右される商品であるため、発売のタイミングを間違えるわけにはいかない。