アングル:マスク氏率いた米政府効率化省「DOGE」、混乱の100日間 功績は不明

トランプ大統領と起業家のイーロン・マスク氏が「連邦政府の官僚機構の効率化」を目指すミッションと呼ぶ取り組みを始めてから、ほぼ100日が経過した。写真はニューヨークのテスラショールームで、マスク氏や彼の率いる政府効率化省(DOGE)に抗議する落書きをする男性。動画から取得した静止画。4月22日撮影の Extinction Rebellion NYC提供写真(2025年 ロイター)
Tim Reid Alexandra Alper Nathan Layne
[ワシントン 24日 ロイター] - 米国で定年退職者や障害者への給付を担う社会保障局(SSA)では、ベテランの請求処理担当者らがトランプ政権によって解雇されたり、早期退職に応じて職場を去った。代わりを務めるため、局内の弁護士、統計学者などの高官が東部メリーランド州のボルティモアにある本部から地方事務所に派遣された。
だが事情に詳しい2人の関係者によると、ほとんどは業務のやり方を知らず、障害者や高齢者など、給付金に頼っている人々が長時間待たされているという。再配置された職員について、同局はあくまで「当局のプログラムやサービスについて豊富な知識がある」とメールで述べた。
トランプ大統領が連邦政府職員に対し出勤再開を命じて以来、内国歳入庁(IRS)の混み合ったオフィスではインターネット接続が非常に不安定になっており、職員らは個人のホットスポットに頼らざるを得なくなっている。その結果、税務処理で最も忙しい時期にコンピュータがクラッシュする事態が発生していると、同庁の職員2人がロイターに語った。同庁はコメントを控えた。
トランプ大統領と起業家のイーロン・マスク氏が「連邦政府の官僚機構の効率化」を目指すミッションと呼ぶ取り組みを始めてから、ほぼ100日が経過した。職員と予算の削減によって物品調達は停滞し、コストは増大。意思決定は麻痺(まひ)し、市民の待ち時間は長くなり、多額の賃金が支払われている公務員が雑務をこなす事態となり、科学技術分野の人材流出まで起きている。ロイターの調査で、こうした問題が少なくとも20件発生していることが分かった。
「DOGEは真面目な取り組みではない」。政府の合理化を支援する財政保守派シンクタンク、マンハッタン研究所のフェローであるジェシカ・リードル氏は述べた。DOGEによるこれまでの節約額は50億ドル(約7147億円)に過ぎないと推定しており、最終的には節約額を上回るコストがかかるだろうと考えている。
これまで報道されていなかったこれらの事例は14の政府機関にまたがっており、ロイターが30人以上の連邦職員、労働組合代表者、ガバナンス専門家に行ったインタビューで明らかになった。
こういった事例は、DOGEが連邦官僚機構のコストと規模を大幅に削減するという取り組みの全体を網羅したものではない。とはいえ、巨大で複雑な官僚機構の効率化を目指す過程で思わぬ悪影響が出ていることを浮き彫りにしている。
ホワイトハウスのフィールズ報道官は声明で、マスク氏のチームは「すでに政府の技術を近代化し、詐欺を防止し、プロセスを合理化し、納税者のため数十億ドルの節約を実現した」と述べた。
<効率化は成功したのか>
マスク氏は22日、電気自動車(EV)大手テスラの経営に集中するため、DOGEの関連業務に充てる時間を週1─2日に減らす意向を示した。特別政府職員としての130日間の任期は5月末に満了する予定だった。今後のDOGEへの影響は不透明だが、ガバナンス専門家によると、コスト削減は継続される見通しだ。
マスク氏と関係者らは、大量解雇や政府契約の打ち切り後、政府機関の運営が効率的になったのかどうかについて、具体的な証拠をほとんど示していない。
数十人の政府関係者によると、DOGEの職員は政府機関へと広範囲にわたって入り込み、極秘裏にコンピューターシステムにもアクセスしているという。
DOGEのウェブサイトでは、米国民の税金をこれまでに1600億ドル節約したと主張し、定期的に進捗を報告しているが、多数の誤りや訂正箇所が見つかっている。
ホワイトハウスはコスト削減の例として、中小企業庁が2020―21年に115歳以上および11歳未満の申請者に対して行っていた6億3000万ドル以上の不正融資の発覚などの例を挙げた。だがロイターは独自に検証することができなかった。
<ドライアイスが買えない>
DOGEはコスト削減策の一環として、政府職員が使用していた約50万枚のクレジットカードを廃止したと発表した。さらに、多くのカードには1ドルの上限を設け、一部の政府機関本部に意思決定を集中させた。その結果、地方事務所の管理者は基本的な備品さえ購入できなくなった人もいる。
国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の施設では、ある科学者が尿サンプルの保存に必要な200ドルのドライアイスを購入する許可を得るのに1カ月もかかった。ドライアイスは通常、地元のスーパーマーケットで購入できる。だが政権により、多くの職員は物品の購入を禁じられている。このため、まだ政府のクレジットカードを持っている別の地方事務所の同僚がドライアイスの代金を支払った。その際、地方事務所からの送料が100ドルもかかったという。
社会保障局では、3月第1週の4日間でコンピュータシステムが10回クラッシュした。同局のIT職員の4分の1が早期退職または解雇されたため、システムの復旧に時間がかかり、請求処理に支障が出ていると、あるIT職員がロイターに語った。
社会保障局のコンピュータシステムが古く、頻繁にクラッシュし、更新が必要であることに異論を唱える人はほとんどいない。マスク氏はニュース番組のインタビューで、同局のシステムは「機能不全」に陥っており、「現在修復中」だと述べた。
<既存の合理化担当組織まで「合理化」>
トランプ氏が2期目の任期初日に設立したDOGEは、世界の困窮者に援助を提供する国際開発局(USAID)をほぼ閉鎖した。人道支援プログラムの8割以上が中止されており、同庁の職員はほぼすべて9月までに解雇される予定だ。海外の事務所もすべて閉鎖され、一部の機能は国務省に吸収されるとみられている。
ロイターの集計によると、国内では改革の結果、26万人の公務員が解雇、辞職、早期退職した。
2月には、最近採用あるいは配置転換された試用期間中の職員2万人以上が解雇された。裁判所の判決後に復職したが、大半は給与を満額支払われた上で自宅待機となった。その後に新たな判決が出て、大半の職員が再び解雇されている。
トランプ大統領とマスク氏は、米国政府には不正や無駄遣いがはびこっていると主張している。公務員やガバナンスの専門家も、効率化の余地があることに異論を唱える向きはほとんどいない。ただ、連邦政府機関内にはすでに国民の税金を節約するための省庁があるが、一部はDOGEにより削減対象となっているという。
DOGEは3月、連邦政府全体のテクノロジーの合理化を担当する数少ない政府機関の組織を廃止した。このチームは「18F」として知られ、90人で構成されていた。
2016―20年に18Fで働いていたウォルド・ジャキス氏によると、わずか3日間のプロジェクトで国防総省の費用を5億ドル節約したと述べた。ロイターはこの数字を検証することはできなかった。
「18Fは、マスク氏とそのチームが政府に期待している通りの働きをした。だが同氏のチームはそれを見つけると、18Fを解体した」とジャキス氏は語った。
トランプ大統領が一般調達局に配属したトーマス・シェッド氏は3月、職員宛ての電子メールで、18Fは「重要ではない」と述べた。
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