最新記事

AI

大寒波予測で韓国ロッテのホームショッピングが大当たり IBMのAI活用、予算比300%を達成

2021年1月24日(日)12時23分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

AI気象予測システムを導入していない他のホームショッピング業者は、気象庁が発表する韓国を5つの地域に分けた気象予測データを元に、これまでの放送データなどから割り出して、販売商品を決定していたそうだ。

そのため、突然の天気の急変で売り上げが伸び悩むことや、ギリギリまで放送準備に追われるなどの苦労があった。

昨年の長梅雨と台風も予測、売上目標300%にアップ

一方で、AIを導入すればそういった悩みは最小限に抑えられる。実は、ロッテ・ホームショッピングのAI気象予測システムは、今回の大雪だけでなく、それ以前にも、昨年の7月から9月にかけて韓国を襲った記録的に長い梅雨と台風を予測していたといわれている。

長梅雨と台風の予測を出したAIを信じ、ロッテ・ホームショッピングは除湿機や衣類乾燥機など梅雨対策に特化した商品販売を増やして番組編成を行った。その結果、前年同期比の注文数は「除湿機」113%、「乾燥機」120%にそれぞれアップしたという。

各商品別の注文金額も3〜5億ウォンを記録しており、ロッテ・ホームショッピングは、昨年の除湿器/乾燥機の対予算比150〜300%を達成させ大成功した。

このように、導入後早速大きな成果を上げているロッテ・ホームショッピングのAI気象予測システムだが、そもそも天気予報はAIが最も活躍できる分野の一つだと言われている。

韓国政府もAI予報の開発に期待

昨年2月4日、Googleは「Google AIフォーラム」の会場で、AIによる気象予測研究結果を発表した。「公益のための AI(AI for Social Good)」プロジェクトリーダーであるカーラ・ブルームバーグ氏による発表では、Google AI 気象予測システムは、1平方キロメートル単位で6時間先の天気をたった5分で予測することができるという。これまでの気象予報システムでは、過去の観測データを統合し反映させなければならないため、スーパーコンピューターを使っても約6時間はかかっていたというから驚きだ。

韓国は昨年末、2021年度気象庁への予算を昨年の3,909億2000万ウォンから8.9%もアップした4,256億5900万ウォンで編成した。とくに、AIによる天気予測システム開発をメインとした「未来気象技術確保事業」に106億ウォンの予算が割かれていることに注目が集まった。政府もAIによる気象情報に期待を込めていることがよくわかる。

もちろんビジネス分野だけでなく、今後AIの気象予測がますます性能を高め予想的中率が上がると、大雪や台風などの天災を迎え撃つ大きな助けになる。自然の力はあまりにも大きく、これまで太刀打ちできなかったが、人類はAIという味方を手にし、事前に予測して対処することができるようになった。

これからは特別ハイテクを意識していなくても、知らず知らずのうちに、身近なところでAIの恩恵を受けている、そんな世界になっていくことだろう。

ニューズウィーク日本版 AI兵士の新しい戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月13号(1月6日発売)は「AI兵士の新しい戦争」特集。ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

バンス氏、移民当局発砲問題で連邦職員を擁護 民主党

ワールド

円滑な食品輸出は重要、状況注視=中国の通関遅延報道

ワールド

トランプ氏、住宅対策でMBS2000億ドル相当購入

ワールド

キーウにロシアの無人機攻撃、少なくとも2人死亡 火
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中