コロナパンデミックが変えたXマス商戦 臨時採用は接客から倉庫に
北米と欧州の小売業では例年この時期、何十万人もの大勢の季節従業員が雇われる。だが、今年はコロナ禍でオンラインでの買い物が記録的な量に上っており、季節従業員の業務内容も店頭の接客から、倉庫や配送へと劇的にシフトしている。英チェスターで7日撮影(2020年 ロイター/Phil Noble)。
北米と欧州の小売業では例年この時期、何十万人もの大勢の季節従業員が雇われ、贈り物用の商品を梱包したり、クリスマス用のディスプレーを支度したり、まだ用意していないクリスマスプレゼントをあわてて買いに押し寄せる顧客を手伝ったりするものだ。
しかし今年はコロナ禍でオンラインでの買い物が記録的な量に上っている。このため、季節従業員の業務内容も店頭の接客から、倉庫や配送へと劇的にシフトしている。エコノミストによれば、欧米では既に小売業労働者が数百万人も解雇されている中で、そうした残された小売業雇用への争奪戦も激しくなっている。
コンサルタント会社、チャレンジャー・グレイ&クリスマスが米労働統計局のデータを集計したところによると、今年11月は、米国の小売業での接客の求人が30万2100件と、前年同月の46万6400件から約3分の2に減った。
百貨店のメーシーズは今年、年末商戦用の雇用を2万5000人と、昨年の8万人から減らした。5月に連邦破産法11条の適用を申請したJCペニーは、11月初めに救済されて辛くも廃業を免れたが、年末の臨時採用数は1700人。昨年の3万7000人から激減している。
その一方で、職探しサイトのグラスドアの11月のデータによると、米小売業の店頭での雇用への応募活動件数は前年同期比で34%増えていた。
欧州でも、求人が減っている一方で求職は増えている。アズナのデータでは、英国の季節従業員の求人件数は11月、前年同月から3分の1減って1万3600件だった。
CVライブラリーによると、英国では小売業の店頭接客スタッフの求人件数が前年比で60%減ったが、これに対する1件当たりの求職側のクリック数は2倍に増えた。ドイツと英国では、学生向け求人サイト、スチューデント・ジョブズの担当者に対し、企業から返信が来ないことに不満を募らせた学生からの問い合わせが増えている。企業に応募が押し寄せているからだ。
インディードの英国エコノミスト、ジャック・ケネディー氏の最近のリポートによると、英国では季節労働の求人1件当たりに反応するクリック数が昨年に比べて3分の1ほど急増した。
ケネディー氏は「失業が増えている中、求職者はクリスマス用の仕事が一時的な命綱になると考えているのかもしれない」と記した。