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世界経済OPEC+、過去最大規模の減産で最終合意
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は12日、5─6月に日量970万バレルの減産を行うことで最終合意した。写真はアブドラアジズ・エネルギー相手とロシアのノバク・エネルギー相。2019年12月、オーストリアのウィーンで撮影(2020年 ロイター/Leonhard Foeger)
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は12日、5─6月に日量970万バレルの減産を行うことで最終合意した。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた原油価格を支えるため、世界の原油供給の約10%に当たる過去最大の減産を実施する。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑える取り組みで原油需要が落ち込み、価格が急落する中、産油国の財政が圧迫されているほか、比較的コストの高い米シェール業界が大きな打撃を受けている。
OPECプラスが今回合意した減産の規模は2008年の金融危機時の減産の4倍を超える。2022年4月まで実施されるが、減産幅は段階的に縮小される。
トランプ米大統領はツイッターに「OPECプラスとの大規模な原油合意が成立した。米エネルギー業界の数十万の雇用が守られる」と投稿し、ロシアのプーチン大統領とサウジアラビアのサルマン国王に謝意を示した。
OPECプラスは9日、日量1000万バレルの減産を5月と6月に行うことで合意したが、メキシコが要請された減産幅の受け入れを渋っていた。
メキシコのロペスオブラドール大統領は10日、メキシコの減産を米国が肩代わりするとトランプ大統領から申し出があったと明かし、トランプ大統領もメキシコの「不足を補う」としていた。
OPECプラスの関係筋によると、メンバー国による合意以上の大幅減産や、非メンバー国の減産、各国による戦略備蓄の積み増しなども合わせれば、5日1日から実質的に日量2000万バレル超、世界供給の20%相当の減産となる見通し。これらの数字は合意文書の草案に含まれていたが、最終文書では削除された。
関係筋によると、ペルシャ湾岸のOPEC加盟国は合意より大幅な減産を行うとみられる。
サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は、サウジ、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)が自主的な追加削減を提案したと明らかにした。実施すれば、OPECプラス全体の実質的な減産量は1250万バレルに達するという。
OPECプラスの関係筋によると、非加盟の米国、カナダ、ブラジル、ノルウェー、インドネシアは日量400万─500万バレルの減産を実施する見込み。
同関係筋によると、国際エネルギー機関(IEA)が今後数カ月で日量300万バレル程度のメンバー国による備蓄積み増しを発表する予定。IEAは15日に発表する月次リポートに最新情報を載せるとしている。
米国、インド、日本、韓国はすでに石油備蓄を積み増す可能性があると表明している。
カナダとノルウェーはこれまでに減産に前向きな姿勢を示している。米国は法律上、OPECなどとの協調が難しいものの、原油価格の下落を受けて今年の産油量は自然に大幅減になると説明している。
*内容を追加しました。
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