新型コロナウイルス直撃の日本企業、設備投資計画「全て先送り」「最低限のみ」が8割弱
108兆円対策、まだ不足
政府が新型ウイルス感染拡大防止や資金繰り支援、給付金などで事業規模108兆円の緊急経済対策を打ち出したが、「やや不足」、「かなり不足している」が合わせて75%にのぼった。全体として「規模よりもスピード感がない」(卸売)といった評価が目立った。
十分な規模であると評価する企業からも「終息がみえない状況下では評価が難しく、とりあえず第一弾の施策という認識のため」(食品)といった声があるほか、「今後予想される景気縮小に対し規模が小さい」(電力・ガス)など、この先さらに経済が悪化することへの不安も大きい。
対策に盛り込まれている資金繰り支援や雇用調整金、感染終息後の消費支援などについても、さらなる拡充を求める声が4割を占めた。緊急事態宣言の対象地域における休業要請に関連して「休業補償の支給を条件とした強制的な休業命令」(サービス)を求める声もある。
一方「過大」との見方はわずか5%、「十分な規模」との見方も21%にとどまった。中には「一時的なパニック状態に乗じて過度なバラマキ政策をとると、何でも国が補償すべきとの主張になりかねない」(機械)、「大企業や一定以上の給与所得者への支援は不要。中小企業・個人事業主・低所得者層に対象を絞るべき」(小売)といった指摘もあった。
投資計画、大幅な抑制姿勢
2020年度設備投資計画については、現時点で「すべて見送る」が4%となった。「投資などは後回しで、まずは当面の経営維持が喫緊の課題」(窯業)といった回答がある。
また「必要最低限」が73%にのぼり、大幅な抑制姿勢となっている。感染終息時についても「前年より拡大する」との回答を「縮小する」との回答が上回った。
慎重化の背景には「終息後の産業地図の変化を注視してから実行することになる」(ゴム)など、「経済活動そのものが変わるため、従来の投資基準は適用できなくなる 」(小売)といった認識の広がりもある。
雇用や賃金については、約9割の企業が従来通り維持する考えであることが分かった。「雇用・賃金の低下による経済の負のスパイラルは回避しなくてはならない」(卸売)といった考え方が複数寄せられた。
(グラフ作成:照井裕子 編集:石田仁志)
[東京 ロイター]

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