日本よりキャッシュレス進む東南アジア 屋台から配車サービスまで競争過熱
配車アプリからスタートして統合アプリに事業を拡大したグラブやゴジェクなど、東南アジア地域における最大手のeウォレット事業者は、主要な決済手段になることによって消費者を自社のネットワークに囲い込み、もっと高収益のサービスを提供できるようになると期待している。中国でアリババやテンセントが開拓してきたビジネスモデルだ。
グラブのミン・マー社長はロイターの取材に対し、「我々の決済ビジネスがこれだけ成功している理由の1つは、オフラインであれオンラインであれ、あるいはオンデマンドであれ、最大規模の店舗ネットワークを構築するという非常に意欲的な戦略を持っていたからだ」と語った。
既存のビジネスへの付加的なサービスとしてeウォレットを活用することをめざす企業もある。エアアジアのeウォレット「ビッグペイ」には、エアアジアを利用する際の条件が有利になる特典があり、やはり主要な決済手段になることが期待されている。
テンセント、アリババ及びその系列企業は、主として東南アジアで自社のウォレットを利用する中国人旅行者をターゲットとしているものの、同地域内のほぼ全ての市場において地元のeウォレット事業にも投資している。
グラブは、東南アジアでは、主要6カ国において電子マネー決済を行うライセンスを保有しているのは同社だけであり、域内では最も広い範囲にアプローチできる立場にあると述べている。
疑問符が付くビジネスモデルも
だが一部の識者のあいだには、懐疑的な見方も依然として残っている。
ベンチャーキャピタル企業セントのパートナー、ドミトリー・レビット氏は、多くのeウォレット事業のビジネスモデルを、1)多くの顧客を獲得し、そのデータを握っている、2)成功の可能性は疑問、3)非常に高い利益率を実現している──という3つに分類する。セントは複数の決済処理企業に投資しているが、eウォレット事業からは距離を置いている。
ゴジェクの決済プラットホーム「ゴーペイ」のアルディ・ハリオプラトモCEOは、他のeウォレットや既存企業との競争については心配していない、と話す。
「ドライバーを銀行に結びつける決済事業者になることで、十分な利益率を確保できている。競合他社や銀行からの脅威にばかり気を取られていると、パイの大きさには限りがあるような気がしてくる」とハリオプラトモ氏は言う。そして同氏は「実際には、インドネシアではパイは大きくなっている」と付け加えた。
(翻訳:エァクレーレン)
[ホーチミンシティ/香港/シンガポール ロイター]
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