アップル、iPhone空輸作戦 トランプ関税対応で印から米へ150万台

4月10日、 米アップルは、トランプ大統領の関税政策への対応策として、貨物機をチャーターしてインドから600トン(150万台相当)の「iPhone」を空輸している。写真はワシントンのアップル施設前で2019年5月撮影(2025年 ロイター/Clodagh Kilcoyne)
[ニューデリー 10日 ロイター] - 米アップルは、トランプ大統領の関税政策への対応策として、貨物機をチャーターしてインドから600トン(150万台相当)の「iPhone」を空輸している。複数の関係者がロイターに明かした。
これまでアップル製品の主な製造拠点となってきたのは中国だが、トランプ氏は追加関税を累計で145%まで引き上げている。そのためアナリストは米国でのiPhoneの販売価格が急騰する恐れがあると警告していた。
一方インドからの輸入品に適用される上乗せ関税率は26%と大幅に低い上に、発動は90日間停止された。
こうした中で関係者の1人はアップルによるインドからのiPhone空輸について、同社が「関税(という逆風)に打ち勝とうとした」と説明した。
関係者によると、アップルはインド南部チェンナイの空港において通常なら30時間かかる通関手続きに関しても、6時間に短縮できるよう当局に働きかけたという。
3月以降、100トン積みの貨物機6機が米国に飛来し、直近の便は今週到着したとされる。
ロイターの計算に基づくと、運ばれてきたiPhoneの「14」と充電ケーブル1組の重さは約350グラムなので、合計輸送量は600トンになる。
アップルは世界全体で年間2億2000万台のiPhoneを販売。カウンターポイント・リサーチの試算では、現在は米国に輸入されるiPhoneの2割がインドから、残りは中国からだ。
ただアップルは中国以外に生産拠点を分散化する取り組みを進めており、この面でインドを重視している。
関係者は、チェンナイでiPhoneを受託生産しているフォックスコン(鴻海精密工業)の工場では、増産に向けて日曜返上で稼働中だと述べた。