シェアキッチンで配達専業 ネット食品配送4位の韓国に世界が群がる
レストランオーナー向けのマーケティング支援も提供しているクラウドキッチンズは、シェアサービス事業者のシティ・ストレージシステムズの1部門だ。シティ・ストレージシステムズは、不祥事を理由にウーバーCEOを辞任したカラニック氏が、昨年1億5000万ドル(約162億円)で買収。その後カラニック氏は英国の業務用キッチンレンタル企業フードスターズを買収し、中国への投資も模索していると伝えられている。
韓国でのライバルは、地元企業のウィークックだ。同社は4カ所の拠点を持ち、年内に17カ所に拡大する計画である。
ウィークックのアンディ・キムCEOは、「投資家は、グローバルな食品デリバリー市場の最前線となっている韓国に資金を注ぎ込んでいる」と言う。シェアキッチン企業は韓国で学んだ教訓を他のアジア市場にも応用していくと、同CEOは予想する。
ターゲットは単身世帯
シェアキッチンの人気は米国や中国を含む多くの国で高まっているが、デリバリー専門レストランの発展に最も適しているのは韓国市場だとみられている。
韓国の人口5180万人のうち約半分はソウル及び近隣2都市で暮らしており、成人の95%はスマートフォンを保有している。また調査会社ユーロモニターによれば、人口10万人あたりのレストラン数は、中国69店、日本57店、米国21店に対し、韓国は127店もある。
また、韓国ではオンライン食品デリバリーとピックアップの市場規模が過去5年間で2倍以上に膨らみ、59億ドル相当となったことが、やはりユーロモニターのデータから分かる。日本とドイツ両国の市場を合わせたよりも大きく、これを上回るのは中国、米国、英国だけだ。ユーロモニターでは、韓国の市場規模は2023年までに90億ドルまで成長すると予想している。
1人暮らしの単身者の急増も、フードデリバリーサービスの好調に追い風となっている。この市場では、業界首位の地元企業ウーワブラザーズが、独デリバリー・ヒーロー、ウーバーイーツ、ソフトバンクが支援する新参組の電子商取引企業クーパンなどのライバルとしのぎを削っている。
韓国の全世帯に占める単身者世帯の比率は2018年に29%となり、10数年前の約2倍となった。生活コストが高いため、結婚や出産という選択肢の人気が落ちているためだ。
「独り暮らしで、人とのやり取りを避けたがる顧客は増えている。彼らはわざわざ外で食事をするという面倒を嫌がる」と、前出のユンさんは言う。