「爆買い」の火は消えるか?
昨年の中国経済を牽引した消費者だが、今年は支出を切り詰める可能性が高い
1月20日、世界経済の先行きにとって、さらに悪いニュースかもしれない。「爆買い」で昨年の経済成長を支える主役だった中国の消費者が、今年は支出を切り詰める可能性が高まっている。写真は上海のグッチ店舗前。2005年撮影(2016年 ロイター/Claro Cortes)
世界経済の先行きにとって、さらに悪いニュースかもしれない。「爆買い」で昨年の経済成長を支える主役だった中国の消費者が、今年は支出を切り詰める可能性が高まっている。
外食の頻度を減らし、スマートフォンの機種交換を先送りし、衝動買いを減らしていくという。
世界第2位の経済大国である中国の政策当局にとっては、ただでさえ株式市場の動揺と賃金成長の伸び悩みに苦慮しているというのに、これもまた気を揉む材料だ。
中国経済は昨年、この四半世紀で最も低い経済成長率を記録したが、少なくとも政府が掲げた目標に近い成長率を維持できたのは消費需要のおかげだったと、アナリストは見ている。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの北京在勤アナリスト、トム・ラファティ氏は、「2015年に経済を救ったのは中国の消費者だ」と語る。「彼らの消費支出が、これまで中国経済のけん引役だった産業や投資の不振を相殺することに貢献した」と言う。
だが、今年も消費者が同じように動いてくれるという保証はない。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)が20日発表した調査によれば、中国の消費者信頼感は今月記録的な低さとなった。米調査会社チャイナ・ベージュ・ブックの調査では、第4・四半期の雇用成長・賃金成長は過去4年間で最低となっている。
これらの調査を裏付けるように、ロイターが上海で取材した消費者も、今後支出には気を配り、抑制していく可能性が高いと語っている。
爆買い頻度も減少
男性のZhouさんは、昨年ガールフレンドとともに外食で約7万元(約125万円)、衣類とアクセサリーに4万元を使ったという。だが、今年は経済状況に鑑みて約3分の1近く支出を切り詰める予定だ。「自炊を増やす。携帯電話などのエレクトロニクス製品の買い替え頻度も減らすかもしれない」と言う。