中国富裕層が群がるアメリカの高級物件
中国人はかなり高級志向のようで、中国人向けの住宅価格の中央値は52万3148ドル(カナダ人向けの住宅価格は平均21万2500ドル)。彼らは、中国人向けの物件(風水に基づいて設計されているなど)を専門に扱う業者を利用する。例えば不動産検索サイトのジロウ・ドットコムは北京の不動産検索サイトと提携し、中国人バイヤーに情報提供している。真のグローバル不動産市場の誕生だと、ニューヨーカー誌のジェームズ・スロウィッキーは5月のコラムで書いた。
こうした状況は、80年代後半のジャパンマネーによる米有名不動産の買いあさりを思い起こさせるかもしれない。ニューヨークのロックフェラーセンターやカリフォルニアの名門ゴルフ場が相次いで買収され、「日本株式会社」がアメリカを席巻するのではないかと懸念する声も上がった。ところがその後、日本の資産バブルが崩壊、以来20年間、日本経済は低迷したままだ。今回も騒ぎ過ぎだと主張する専門家もいる。
汚職取り締まりの影響も
11年にニューヨークのパークアベニュープラザの株式の49%を中国の不動産グループ、SOHO中国が取得したケースなどはあくまでも例外だ。「中国マネーが象徴する資本流出はジャパンマネーのときとはタイプが異なる。企業ではなく一族や個人が原動力になっている」と、チョバネクは言う。
きれいな空気と優れた教育システムを求めて、中国の富裕層(資産総額160万ドル以上)の64%が既に国外に移住しているか、移住を計画している。習近平(シ―・チーピン)国家主席が昨年の就任以降、汚職取り締まりに意欲的で、高級住宅を複数所有するなど富を誇示する官僚を罰していることも、海外資産購入に拍車を掛けている。
「反汚職キャンペーンのせいで資産状況を曖昧にしたがっている中国人が多い」と、チョバネクは言う。