最新記事

携帯端末

スマホ参戦、アマゾンの野望と落とし穴

ついに登場した「ファイアフォン」は業界に大きな変化を起こす可能性を秘めているが

2014年7月14日(月)12時34分
ウィル・オリマス

最先端 「ファイアフォン」の3D画像はユーザーが見る角度に応じて変化する Jason Redmond-Reuters

 アップルとグーグルが持っている以上、アマゾンも黙ってはいられない。アマゾンは先週シアトルで開催されたイベントで、自社初のスマートフォン「ファイアフォン」をお披露目した。

 画面サイズは4・7インチ。OSはアンドロイドを搭載。米通信大手AT&Tの独占販売で、価格は2年契約で199ドルから(日本発売は未定)。購入者には、年会費99ドル相当のプライムサービス(商品の早期配送や動画・音声配信などのサービス)の利用資格が与えられる。

 昨年発売された同社のタブレット型端末キンドル・ファイアと同様、「メーデー(救難信号)」機能が搭載されており、いつでも手軽にカスタマーサポート担当者を画面に呼び出して助けを求めることができる。容量無制限の写真ストレージサービスも無料で提供される。

 最大の目玉は「ダイナミック・パースペクティブ」と名付けられた3D表示機能だ。ひとことで言えば、ユーザーが画面を見る角度に応じて画像が変化する機能である。

 例えばニューヨークのエンパイア・ステートビルを上から映した3D画像を見ると、単に立体的な画像が映し出されるだけではない。ユーザーが顔を右に動かせば右から見た画像に、左に動かせば左から見た画像に切り替わる。

 この機能を活用し、端末を傾けることでアマゾンの商品画像を何枚も次々と見たり、ウェブページや電子書籍をスクロールしたりすることもできる。ゲームの新しい地平が切り開かれる可能性もあるだろう。

買い物端末以上の可能性

 アマゾンは、この新しい機能に莫大な投資をしたと思われる。ジェフ・ベゾスCEOが述べたように、カギを握るのは「ユーザーの顔の位置を常に把握すること」だ。そのために4つもの赤外線カメラを搭載し、高度な顔認識ソフトウエアを開発する必要があった。

 ファイアフォンは、スマートフォンに革命的変化を起こす可能性を秘めている。スクリーン上の画像が流動的に切り替わり、さらにはユーザーの片手が端末操作から解放されるからだ(現状では片手で端末を持ち、もう片方の手でタッチスクリーン操作を行わなくてはならない)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦争を警告 米が緊張激化と非難

ビジネス

NY外為市場=ドル1年超ぶり高値、ビットコイン10

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 取引禁止

ビジネス

米国株式市場=上昇、ダウ・S&P1週間ぶり高値 エ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中