銅の下落に世界の投資家が注目する訳
この2つの要因が重なったことで投資家たちの銅離れが加速し、今ではさまざまな形で大きな影響が出ている。まずはグレンコア・エクストラータやBHPビリトンなどといった鉱業大手への影響がある。
銅価格の下落によってこうした企業の株価が下落し、採鉱計画も見直しを迫られるようになると考えられる。そうなると次に来るのは人員削減だ。
最近、これまで米鉱山会社フリーポート・マクモランの業績見通しを高く評価していたモルガン・スタンレーが、その見通しにあらためて自信を示す発表を行った。だがこれは銅ではなく、金価格の上昇を見越してのもの。金価格は一般的に、経済状況が悪いときほど価格が上がるようになっている。
とりわけ厳しい状況に陥りそうなのは銅産出国のチリだ。世界最大の銅生産企業である国営のコデルコは、チリのGDPの約10%を稼ぎ出す。銅の下落が続けば、チリ経済全体に深い傷が付くのは避けられない。既にコデルコは政府に対し、施設の改修のため10億ドル規模の公的資金注入を求めている。
チリほどではないにしろ、ペルーやメキシコ、オーストラリア、インドネシアなども銅下落の影響を受けるだろう。
一見すると私たちの生活にあまり関係なさそうだが、実は銅は世界経済にとってこれほどにも重要な存在だ。その価格変動は、巡り巡って私たちの生活にも大きく関わってくる。
From GlobalPost.com特約
[2014年4月 8日号掲載]