そして中国はボルドーを目指す
ブドウ園が造園されている地域の社会的・政治的安定性も問題だ。特に四川省では中国政府による圧政に抗議するチベット人の焼身自殺やデモが起きている。こうした地域がワイン産業育成で投資の恩恵にあずかり、いくらか安定することを期待する声もある。しかし、長年にわたる複雑な問題を解決するにはそれだけでは不十分だ。
そもそも、中国の国産ワインがヨーロッパから輸入される高級ワインに対抗できるかどうかも問題だ。「賀蘭晴雪」のような例外も確かにある(同社の09年産ワインは11年のデカンター・ワールド・ワイン賞でボルドー品種ワイン506銘柄を破って栄冠を手にした)。それでもほとんどの中国産ワインは外国人には人気がなく、多くの中国人も高級ワインを飲むステータスに釣られてヨーロッパ産を好む。
賀蘭晴雪のワインコンサルタントの1人である李徳美(リー・トーメイ)によれば、「中国の人々は国産ワインに興味がない。彼らにとって世界一のワインはシャトー・ラフィット。当社のワインのことを話題にしても、シャトー・ラフィットとは比べものにならないと言われる」。
とはいえ中国ではワインの需要が増大しており、国内メーカーはこのチャンスを逃すまいとしている。現に中国は世界有数のワイン消費国で、11〜15年の5年間で国内のワイン消費量は54%増える見込みだ。中国のワイン産業は果たして波に乗れるだろうか。
From thediplomat.com
[2013年8月20日号掲載]