オンラインカジノ報道で置き去りの「精神疾患」問題...日本は万博後の「カジノ社会」に飲まれるか?

今回のAIイラスト:ギャンブル依存症で、大事なのは懲罰でなく治療です AI GENERATED ART BY NEWSWEEK JAPAN VIA STABLE DIFFUSION
<大谷選手元通訳の賭博問題から4630万円誤送金事件、最近の「オンカジ」報道に至るまで、根底には深刻な「依存症問題」があると時事ウォッチャーのプチ鹿島さんは指摘します>
ああ、数年前のあのニュースはこうつながるのか、ということがある。
2022年に起きた「4630万円を誤入金」を覚えているだろうか。山口県阿武町が新型コロナ対策の給付金4630万円を誤って1人の住民の口座に振り込んでしまったアレだ。住民はお金をオンラインカジノに使ったと言い出し大騒動になった。
誤入金と知りながら、大部分をカジノで使ったとして詐欺罪に問われた住民は裁判で有罪を言い渡された(被告側は最高裁に上告中)。
いろいろ考えさせられたニュースだったが、当時私が注目したのは「空き家」である。大金が振り込まれた人は町の「空き家バンク制度」を利用して引っ越してきた。空き家を活用して若者たちを呼び寄せ、地域の活性化を図る制度のことだ。
こうした事件が起きると地元住民が移住者と距離を置いてしまうことはないかと心配になった。円滑なコミュニケーションも自治体の今後の課題では?と感じた。地方にとって空き家の解消は切実な問題だ。
もちろん、4000万円もの大金も短期間で消えてしまうオンラインカジノの壮絶さも当時から衝撃だった。この2年後には米大リーグの大谷翔平選手の通訳を務めていた人物のギャンブル報道があった。
そして最近また芸能人やスポーツ選手などが利用していたというニュースを含め、オンラインカジノの件をよく聞く。問題点をおさらいしてみよう。2月21日の朝日新聞には、国内の公営の競馬、競艇、競輪、オートレース以外に賭ける行為は賭博罪に当たる、とある。