オンラインカジノ報道で置き去りの「精神疾患」問題...日本は万博後の「カジノ社会」に飲まれるか?
近年摘発を強化しているのは、オンラインカジノの決済代行業者などからSNSで緩くつながる「匿名・流動型犯罪グループ」へと資金が流れている可能性があるからだという。注意点は、スマホで遊べる手軽さに加え、「安全」などと紹介するサイトもあることだ。
この問題でもっと報じられるべきは「ギャンブル依存症」についてだろう。WHO(世界保健機関)が認定する精神疾患、つまり病気だ。脳が報酬を求めてエスカレートした状態のため、本人がやめたいと思ってもどうにもならないのだという。最初から依存しようと思ってなるものではなく、意志の弱さや性格の問題でもなく「脳の仕業」だというのだ。なのでまず治療が優先される。
大谷選手の元通訳の件はセンセーショナルに報じられたが、当初、ギャンブル依存症について新聞で丁寧な解説があまりないことが気になった。いま思えば阿武町のあの件も依存症について焦点を当てた解説がもっとあってもよかったと思う。
日本経済新聞は3月、オンラインカジノ経験者でギャンブル依存症当事者の約3割が始めて1週間以内に借金していたことが調査で分かったと報じている。調査した団体の代表は「あまりの早さに驚いた」という。
ちょっと前までは「誤送金」とか「有名人」とか特殊枠のニュースにも見えたオンラインカジノだが、日常に侵食していることがよく分かる。で、今年の大阪万博の跡地はオンラインじゃないカジノですって?
※イラストは編集部の新しい試みとして画像生成AI「Stable Diffusion」で作成されています。

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