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世界経済史上最高値、金を買うこれだけの理由
アメリカとヨーロッパ諸国にデフォルトの危険性がちらつく中、投資家は安全な逃避先を求めて貴金属に殺到しはじめた
安全な逃避先 債務危機に株価や通貨の下落、もう金に逃げるしかない? Nicky Loh-Reuters
世界の投資家がアメリカとヨーロッパの債務危機を懸念する中、今週月曜に金相場が1オンス=1600ドルを突破し、史上最高値を更新した。
英ガーディアン紙は銀相場も2%上昇し、40ドルを超えたと報道。5月初旬以来の高値となった。米連邦債務残高の上限引き上げをめぐる交渉が米議会で続き、投資家たちがギリシャをはじめスペインやイタリア、アイルランドなどのヨーロッパ諸国のデフォルト(債務不履行)に対する懸念をいっそう強める現状においては、金と銀の価格は今週中も上昇を続けるだろうと、金融アナリストたちは見ている。
EU域内の主要銀行90行のストレステスト(健全性の審査)の結果が先週発表されたのを受け、アメリカとヨーロッパの株式市場は1%以上下落した。この結果は金曜日の市場取引終了後に発表されたが、対象となった90行中8行が不合格となり、資本不足の総額は25億ユーロに達した。
さらなる懸念材料は、証券大手ゴールドマン・サックスの発表だ。アメリカの2011年第2四半期の実質経済成長率見通しを2%から1.5%に下方修正し、第3四半期についても3.25%から2.5%に下方修正するとした。
このため投資家たちは安全な逃避先として貴金属に走っている。不況下ではよくある選択だ。金相場は7月始め以来、8%近く上昇。7月12日に米連邦準備理事会(FRB)が一段の金融緩和が必要になる可能性があるとの見方を示すと、金相場はさらに急騰した。追加の金融緩和はアメリカドルをさらに弱体化させる可能性がある。
「景気が再び悪化していることを人々が認識するようになり、米政府はさらなる景気刺激策の必要性を模索している」と、米運用会社ヴァン・エック・グローバルの旗艦ファンドで金投資のポートフォリオマネージャーを務めるジョー・フォスターは米CNNマネーの取材で話した。
それでもまだ実質的には、今の金相場は1オンス=825.50ドルを記録した1980年1月21日を超えたとはいえない。当時のこの金額は、今の貨幣価値なら1オンス=2261.33ドルに相当するからだ。1980年当時、投資家たちは2桁台のインフレからの安全な逃避先として金投資に殺到していた。