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コラム
風刺画で読み解く「超大国」の現実 Superpower Satire
中国で日本製ゲームアプリが大人気、「カエルをもって知る親の恩」?
中国人は「旅かえる」のカエルをわが子のように考えている (c)2018 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN
<中国で日本の無料ゲームアプリ「旅かえる」が大人気に。カエルを育てることで若者たちが親の気持ちを理解できるようになったと言うのだが>
「わが子よ! 一晩中ずっと本を読んでいると目が悪くなるよ」「わが子からの旅先の写真だよ! 恋人ができたらしいわ」
たった一晩のうちに、私のSNS微信(WeChat)のアカウントはこんな投稿ばかりになった。「わが子」とはカエルのこと。カエルは「旅かえる」という日本の会社が開発した携帯用ゲームのキャラクター。庭先のクローバーを集めてお弁当を買ってあげて、支度をしたらカエルは旅に出る。旅先の名産や思い出の写真を持ち帰り、家にいるときは読書にふける。正直これ以上つまらないゲームなんてないように思えるが、どういうわけか中国の無料アプリランキングの1位となった。
どうしてブームとなっているのか、中国の専門家は現代社会の若者の孤独さから、日本の箱庭文化や枯山水、禅や俳句に至るまで、いろんな視点で大変真面目に分析している。また、親孝行は中国人の最も大切な伝統なので、有力な説として「カエルをもって知る親の恩」がある。
ある中国の週刊誌も、このカエルを育ててから、若者たちが親の気持ちが理解できるようになったと書いている。カエルが家にこもっているときは、外に出て友達をつくって遊んでほしいが、本当に旅に出て連絡がないと、家出かなあと心配になる。親の気持ちと一緒なのだ。
というわけで、中国のメディアはとうとう日本人開発者に直接インタビューした。中国の若者は旅かえるによって親の気持ちが分かった、という話をしたら、日本人の女性開発者は「違います、あのカエルは息子じゃなくて旦那さんですよ。日本の場合、旦那さんはよく出張をして、そのたびにお土産や出張先の写真などを持ち帰るんです」と答えた。
ああ! 胸が張り裂けそうだ! 中国人ユーザーたちは悲しくなった。何だって? あの萌え萌えのカエルちゃんはかわいいわが子じゃなくて、男臭い旦那さんのことだったって? これは許せない、さっさとアンインストールしようっと。
まあ、そのうち旅かえる人気は消えるかもしれない。今やSNSの新浪微博ユーザーは7億人で微信は9億。1人が面白そうな投稿をしたら、周りも好奇心をそそられドミノ倒しになりやすい。一種のバンドワゴン効果にすぎないのだ。
【ポイント】
早点回来!
早く帰って来てね!
バンドワゴン効果
ある選択を支持する人が多ければ多いほど、その選択が正しいと思い込むようになる心理現象
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