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コラム
風刺画で読み解く「超大国」の現実 Superpower Satire
人種差別のわいせつ男は敗れたが
©2018 ROGERS─PITTSBURGH POST─GAZETTE
<アラバマ州の連邦上院補選で人種差別、同性愛差別、さらに少女への性的暴行で告発された共和党候補が僅差で落選。これではアラバマの住民たちもあまりに恥ずかしくて素直に喜べない>
テレビには名誉毀損になりかねない形容詞が羅列されているが、どれも先日アラバマ州の連邦上院補選に出たロイ・ムーア候補の言動に基づく表現だ。
「アメリカがよかったときは?」と聞かれて奴隷制度のあった時代を持ち出し、ネイティブ・アメリカンとアジア人を reds and yellows(赤いのと黄色いの)と呼び、イスラム教徒は議員になれないと主張したことからの racist。同性愛は「獣姦と一緒だ」と言ったり「忌まわしい、不道徳、自然への大罪だ」と書いたり、全米で合法化された同性婚を自らの州最高裁長官の権限で阻止したことからの homophobic。
14歳の少女も含め、当時未成年だった6人の女性に性的嫌がらせや暴行を告発されたことからの child-molesting。9.11テロは同性愛や中絶を合法化した天罰だと言ったり、判事の時代に裁判をお祈りで始めたり、州最高裁の前に十戒の記念碑を設置したことからの religious nut。どれも事実無根の中傷......ではなさそう。あしからず。
ムーアは選挙に僅差で負けた。でもテレビを見ている2人は喜べない。彼が予備選から勝ち上がったのも、本選で半数近くの票を得たのも、アラバマを代表する有名人になったのも、どれも恥に感じる。喜びよりも恥ずかしさが先に来る。
全国民が共有する反応だ。なぜなら、ムーアを支持した1人はアメリカを代表する人物。メキシコ人は「レイプ犯と殺人鬼」と悪態をつき、イスラム教徒の入国を禁じ、白人至上主義者をかばった、あの人。トランスジェンダーの人の米軍入隊を禁じ、同性愛者にはウエディングケーキを売らなくていいと司法省を通して主張した、あの人。
20人の女性に性的暴行を告発され、「娘じゃなかったら俺が付き合っているかも」とイバンカを性的対象のように話し、10歳の少女を指して「10年後には俺と付き合っているだろう」と言った、あの人。一部のユダヤ教徒やキリスト教徒を喜ばせるためにエルサレムをイスラエルの首都として承認した、あの人。
あの racist, homophobic, molesting, religious nut が次の大統領選で負けても、恥ずかしい思いはなかなか拭えないだろう。アラバマの人たちの気持ち、よく分かる。
【ポイント】
RACIST, HOMOPHOBIC, CHILD-MOLESTING, RELIGIOUS NUT NARROWLY LOSES U.S. SENATE SEAT!
(人種差別主義者で同性愛嫌悪者、子供に性的虐待をした、熱狂的信者が連邦上院選に僅差で敗れる!)
WHEN THE SHAME WEARS OFF ... REMIND ME TO CELEBRATE.
(恥ずかしい思いが消えたら......お祝いをするように私に言って。)
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