政治家の失言は「真意と違う」では済まされない
閣僚らの失言が続く中、丸山議員の「奴隷」発言は安部政権にさらに追い打ちをかけた Toru Hanai-REUTERS
政治家の失言が止まらない。自民党だけではない。先に記しておくと、民主党の中川正春衆議院議員は、甘利明・前経済再生相が「睡眠障害」と診断され1カ月程度の自宅療養に入ったことになぞらえて、「首相の睡眠障害を勝ち取りましょう」と発言した。愚言にも程がある。
歯舞諸島が読めなかった島尻安伊子沖縄北方担当相、福島第一原発事故をめぐる追加被曝線量の年間1ミリシーベルトについて「何の科学的根拠もない」と言った丸川珠代環境相など、相継ぐ閣僚達の失言に政権が手を焼いていたところに発せられた中川議員の発言は、政権に"チャンス"を与えた。19日の衆議院予算委員会で安倍首相は、この中川議員の発言を「人権問題だ」とし、政治家は「与党・野党を問わず」発言に気をつけるべきだ、と述べるに至った。失言を問い詰めてくる側から出てきた失言を加味させて、政治家全体の問題に膨らませることができた、というわけ。
度重なる失言の中でも国際関係までも揺るがしかねないのが、自民党・丸山和也参議院議員が17日の憲法審査会で発言したオバマ大統領への人種差別発言だろう。発言が「アメリカは黒人が大統領になっている」(19日・朝日新聞)、「今、米国は黒人が大統領になっている」(20日・東京新聞)、「"オバマ氏黒人奴隷"発言」(17日・NNNニュース)などと報じられたことに対して、当の丸山議員は「問題を引き起こしやすい発言をしたと反省しているが、批判は見当違いだ」(19日・東京新聞)と開き直った。その割には、憲法審査会を即座に辞任、菅義偉官房長官、谷垣禎一幹事長、稲田朋美政調会長などのお偉いさんから、会見や口頭でそれぞれ注意を受けている。
政治家の諸先輩方に対しては「これは見当違いです」とは言えなかったようだが、彼はメディアの伝え方が見当違いだったと憤っている。このところ、政治家が失言を発する度に、自分の真意はそういうことではない、恣意的な引用で記事にされてしまったと苦言を呈し、何でもかんでも「マスゴミ」バッシングに繋げたがる人たちと結託する場面が増えている。
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