コラム

これからは「変な間取り」のマンションがトレンド?「1R+2N」「LDK」って何

2022年08月23日(火)11時38分

キッチン部分には冷蔵庫置き場、廊下部分に洗濯機置き場が確保され、トイレが独立しているし、お風呂と洗面所が分かれて小さいながらリネン庫(タオル入れ)もある。

また、玄関・廊下とキッチンの間に室内ドアを設けているので、玄関を開けても室内が見えない。これも、従来のワンルームにはなかった工夫だ。

表示が見慣れないが、「1R+2N」は住みやすそうな間取りである。

「LDK」は「間取りのない家」

もうひとつの変な間取りが「LDK」。その表記を見て、「誤植(表記間違い)」だと思う人は多いのではないか。

というのも、間取り表記は1LDK、2LDKのように、数字とLDKをセットにするのが普通であるからだ。その場合、数字部分は寝室や子供部屋の数を表し、LDKはリビングダイニングキッチンの略。そのため、1LDKは寝室1つとリビングダイニングキッチンの間取りとなる。

以上の法則からすると、「LDK」という間取りは「寝室なしのリビングダイニングキッチン」となってしまう。住宅内に寝る部屋は必須なので、「LDK」の表記を見て、「それ間違えているでしょう」と言いたくなってしまうわけだ。

しかし、「LDK」という表記は間違いではなく、「間取りのない家」を表すためのもの。冒頭に掲げたのは、その説明パンフレットを撮影したものだ。

「LDK」は従来の常識にとらわれず、自由に暮らすための間取りということだろう。

下が、その「LDK」の間取りである。

sakurai20220819160003.jpg
世田谷区内で分譲される「クレヴィア三軒茶屋」に設定される「LDK」の間取り。靴のまま室内に入るのがためらわれるなら、マットを敷き、そこで靴を脱げばよいだろう。間取り図は、伊藤忠都市開発提供

たしかに、寝室がない。LDKだけである。

専有面積は約36平米。1LDKもつくることができる広さだ。ただし、その際の寝室は2〜3畳サイズで、シングルベッドを置くだけのスペースとなる。

だったら、小さな寝室を設けず、好きな場所にベッドを置く間取りにしてもよいだろう。そんな自由さを提案しているのが「LDK」の間取りだ。

その工夫ポイントは3つある。

まず、室内に廊下がない。廊下がなくても暮らしやすいように浴室・洗面室・キッチン・トイレの水回りを一直線に並べて、通り抜け可能にしている。洗面室がキッチンから浴室に向かう通路も兼ねているので、合理的だ。

プロフィール

櫻井幸雄

年間200件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。・公式サイト ・書籍/物販サイト

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story