コラム

ニューヨークのスカイラインは変化を遂げてきた

2018年11月08日(木)18時15分

From Gary Hershorn @garyhershorn

<2011年から毎日、ニューヨークの街並みを撮り続け、インスタグラムにアップしている。元ロイター通信フォトグラファーの大ベテラン、60歳のゲーリー・ハーショーンだ>

ニューヨークはここ数年、急激な変化を遂げてきた。その街並みはもう、9.11の同時多発テロ後、あるいはリーマン・ブラザーズ破綻当時のそれとは別世界だ。

そんなニューヨークのスカイラインの変貌を、2011年以来ライフワークとして撮り続けている写真家がいる。2005年からニューヨークに移り住んでいるカナダ人のゲーリー・ハーショーンだ。29年間ロイター通信のフォトグラファーとして働き、現在はフリーランスの写真家およびフォトエディターとして活躍している60歳の大ベテランである。

望遠レンズを、それもかなり長めのものを多用している。ロイター時代、イベントやスポーツの撮影が多く、超望遠レンズに親しんでいたことも一因だが、その圧縮効果が好きなのだと、ハーショーンは言う。

遠近感がなくなってしまうビジュアル世界だ。例えば、上の写真は巨大な高層ビル、ワン・ワールド・トレードセンターだが、それと月が同じ位置関係にあるような錯覚を覚える。あるいは、双方が数マイル離れている自由の女神とエンパイア・ステートビルが、同じ位置に存在するように見える。それが不可思議な魅力を見る者に与えるのである。

ちなみに、現在常に持ち歩いている機材はキヤノンのEOS M5ミラーレスカメラ、それにレンズは300mm F4.0または400mm F5.6だという。ボディがフルフレームでないため、実質レンズの焦点距離は1.6倍相当になる。それをほとんど手持ちで撮影している。

被写体の多くに、ニューヨークのランドマークが絡んでいる。前述した自由の女神、エンパイア・ステートビル、ワン・ワールド・トレードセンター、あるいはクライスラービルやブルックリン橋などである。また、作品の多くは、最も光の良いとされる時間帯であるかなりの早朝、あるいは夕方や夜に撮影されている。それを実質的にほぼ毎日、インスタグラムに数枚アップし続けている。

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国CPI、2月は0.7%下落 昨年1月以来のマイ

ワールド

米下院共和党がつなぎ予算案発表 11日採決へ

ビジネス

米FRBは金利政策に慎重であるべき=デイリーSF連

ワールド

米国との建設的な対話に全面的にコミット=ゼレンスキ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 3
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMARS攻撃で訓練中の兵士を「一掃」する衝撃映像を公開
  • 4
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 7
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 8
    同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つ…
  • 9
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 6
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 7
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 8
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story