コラム

ニューヨークのスカイラインは変化を遂げてきた

2018年11月08日(木)18時15分

一見、大変に思えるが、ハーショーン自身は、それほどでもないと言う。なぜなら、この数年、ニューヨークのミッドタウンでの写真家・編集者としての仕事は、朝の6時半から午後2時半までと決まっているからだ。そのため、ある種、半強制的に撮影のゴールデンタイムに接しているのである。

おまけに、彼の自宅はニュージャージー州のホーボーケン。マンハッタンの高層ビルのスカイライン、とりわけドラマチックに変化し続けるミッドタウン、ロウアー・マンハッタンのスカイラインを撮影するのに最も適した場所の1つだ。

とはいえ、毎日撮影し続けるのはやはり大変なことだろう。ここ数年は世界的な気候の大変動のせいで、ニューヨークでは嵐や極寒の日がかなり多くなってきている。むろん、そうした日は、写真家にとっては最高の写真日和でもあるのだが、それを何年も継続するには非常に大きなエネルギーと情熱を要するのである。

それでも、とハーショーンは言う。彼のインスタグラムのフォロワー、とりわけかつてニューヨークに住んでいた人たちが、ハーショーンの写真を見て特別なニューヨークを思い出し、懐かしがってくれることがあるのだと。そうした時ほど嬉しいことはない、それが写真を撮り続ける情熱を与えてくれる、と彼は話す。

また、かつてスタッフとして働いたロイター時代の仕事と比べながら、ハーショーンはこうも言った。

「今のニューヨークでの長期プロジェクトでは、自分の好きなときに好きなペースで撮影できる。以前の私はフィーチャー(特集)的な撮影をする写真家ではまったくなかったし、この世界に存在する美しい光を探し求めるというタイプでもなかった。だが今は、このプロジェクトのおかげで、私にとって新しい写真世界に入ることができた。写真家としてのキャリアもさらに積み上げられた」

今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
Gary Hershorn @garyhershorn

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

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