コラム

相次ぐ黒人男性の殺害、どうしたら偏見を乗り越えられるか/Double down on(~に倍の力を入れる)

2016年02月28日(日)16時12分

【今週のTED Talk動画】 How to overcome our biases? Walk boldly toward them - Verna Myers
http://www.ted.com/talks/verna_myers_how_to_overcome_our_biases_walk....

登壇者:ヴァーナ・マイアズ

 2014年8月、ミズーリ州ファーガソン市で18歳のマイケル・ブラウンが警察によって殺され、アメリカで大きなニュースとなった。この事件は黒人男性が警察によって殺された有名なケースの1つとなった。このような事件が次から次へと起きていることが、アメリカにとって深刻な問題となっている。

【参考記事】警官を見たら殺し屋と思え? アブなすぎるアメリカの実態

 それを踏まえ、黒人女性コンサルタントのヴァーナ・マイアズが、自身のメッセージを広く伝え知ってもらおうと、このTED Talkを行った。マイアズ氏は、人が無意識的な偏見を自覚することでその偏見を乗り越えるという方法を教えている。彼女が指摘している黒人男性に関する偏見は日本人でも持っているかもしれないし、彼女が提案している考え方は様々な「自分と違った人」に対しても応用できる。そういった点で非常に示唆に富んだ内容となっている。

【参考記事】白人が作った「自由と平等の国」で黒人として生きるということ

キーフレーズ解説

Double down on
~に倍の力を入れる

(動画7:02より)

 この表現は本来、ギャンブルにおいて、負けるたびに賭け金を2倍ずつ増やし続けることを意味します。負けが続いても、勝った時点でそれまでの損金を全て取り戻すことができるという考えに基づいています。より一般的な意味としては、何かの戦略や行動に対して、自分の決意と努力を強化するということを表します。このTED Talkでは、マイアズ氏は「人種を無視するやり方に倍の力を入れる」のは良い戦略ではないと主張しているのです。

 典型的な使用例を紹介します:

●Central banks doubled down on the quantitative easing approach in the third quarter.
(中央銀行は第3四半期に量的緩和のアプローチを強化した)

●Government should stop subsidizing old energy industries and double down on clean energy.
(政府は古いエネルギー産業への補助をやめ、クリーンエネルギーに2倍の力を投入するべきだ)

●Tim Cook vowed to double down on secrecy to avoid leaks before Apple product launches.
(ティム・クックはアップルの新製品発売の前の漏洩を避けるために、秘密主義を強化するよう約束した)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米11月ISM非製造業総合指数52.1に低下、価格

ワールド

米ユナイテッドヘルスケアのCEO、マンハッタンで銃

ビジネス

米11月ADP民間雇用、14.6万人増 予想わずか

ワールド

仏大統領、内閣不信任可決なら速やかに新首相を任命へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    韓国ユン大統領、突然の戒厳令発表 国会が解除要求可決、6時間余で事態収束へ
  • 4
    混乱続く兵庫県知事選、結局SNSが「真実」を映したの…
  • 5
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 6
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 7
    肌を若く保つコツはありますか?...和田秀樹医師に聞…
  • 8
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない…
  • 9
    JO1が表紙を飾る『ニューズウィーク日本版12月10日号…
  • 10
    ついに刑事告発された、斎藤知事のPR会社は「クロ」…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 4
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 5
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 6
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合…
  • 10
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story