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再選へ向けてバイデン出馬、その多難な前途
25日朝の動画メッセージで大統領選への出馬を表明したバイデン OFFICIAL YOUTUBE ACCOUNT OF JOE BIDEN/REUTERS
<高齢批判に共和党の若手台頭、足元の民主党からは相棒ハリスへの疑問符が>
ジョー・バイデン米大統領が、2024年の大統領選に出馬して再選を目指すと表明しました。発表の方法は、自分のナレーションを主体としたイメージ動画を公表するという形態で、ライブ演説ではありませんでした。そのタイミングは、4月25日(火)米国東部時間午前6時ということで、各局の朝7時からのニュースに合わせたものです。なお、この日に出馬表明があるということは、週末からリークがされていたので、サプライズはなかったと同時に、強烈な反発はないことを確認しての動画公表となっています。
ちなみに、あらかじめ用意された動画で出馬表明を行うというのは、2011年に当時のオバマ大統領が取った方法と同じです。また、この時のオバマが出馬宣言から1年以上の間、公務に専念して選挙運動を控えた前例からすると、バイデンも同様に当分の間、選挙運動は封印するかもしれません。オバマの場合は、リーマン・ショック後の景気回復が遅く、それ以上に雇用の回復が進まないことで国民の厳しい批判があり、そのような対応となったと思われます。
それはともかく、この「バイデン出馬」ですが、簡単に現職再選ということにはならないと思います。その行く手には大きな3つの困難が立ちはだかっているからです。
1つは、高齢批判です。80歳のバイデンは現時点でも歴代大統領の中で最高齢であり、NBCの世論調査によれば、アメリカの有権者の70%はバイデンの再出馬に反対しており、その主要な原因は高齢だからということです。民主党支持者の中でも51%が反対しています。その中には、健康や判断力低下への不安というよりも、デジタル社会の問題を理解しない、近い将来の温暖化の危険性について当事者世代でないなど、ミレニアル世代以下の「彼は自分たちの代表ではない」という切実な思いも含まれているようです。
そんななかで、ここへ来て連邦議会民主党の重鎮、ダイアン・ファインスタイン上院議員(カリフォルニア州選出、89歳)が急速に健康と判断力の低下を見せており、にもかかわらず上院の議席に居座っているとして激しい批判を浴びています。この問題の進展次第では、同議員への批判が大統領に飛び火するかもしれません。それ以前の問題として、共和党が若い候補を立ててきた場合には苦戦が予想されます。
G7前に訪日したデサンティス
2つ目はその共和党の動向です。バイデンは2020年の選挙においては、「自分しかトランプを止められない」という思いで統一候補になったとされていますし、今回も同様の思いがあるようです。確かに、現時点では共和党内の支持率を調査しますと、トランプが1位となっています。ですが、今回「高齢のバイデンが出馬宣言をした」とことを受けて、もっと若い候補なら勝てるという待望論が共和党内で上昇する可能性は十分にあると思います。特に大口献金者などはそうした動きをするでしょう。
その受け皿としては、やはりロン・デサンティス、フロリダ州知事(44歳)が最有力です。デサンティス知事は、トランプに似た政策を主張しており、特にロシア・ウクライナ戦争においては「戦争ではなく単なる国境紛争」だなどとウクライナに冷淡な姿勢を取っていました。ですが、ここへ来て「プーチンは戦争犯罪人」とするなど、発言をシフトしてきています。今回、訪日してG7直前の岸田首相と会談することで「自分は外交にも強い」というアピールをした上で、出馬宣言をする構えのようです。
共和党は現在、トランプ前大統領、ヘイリー元国連大使に続いて、アフリカ系のスコット上院議員が事実上、大統領選に名乗りを上げています。そんな中で、今回の「バイデン出馬」というのは、デサンティスの訪日というニュースを「ヘッドラインから追いやる」ことと、デサンティスの出馬宣言に先んじることを狙ったものと思われます。
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