コラム

中間選挙で、もし上院が与野党同数になったら?

2018年11月06日(火)19時00分

民主党の選挙運動にはオバマ元大統領も駆り出された Mike Blake-REUTERS

<上院が50/50で与野党同数になった場合、次の選挙までの2年間、トランプ大統領は困難な議会対策を迫られることに>

アメリカの中間選挙は、下院が民主党多数という情勢の一方で、上院の過半数を与野党のどちらが取るかが焦点になっています。非改選議席を含めた投票直前の情勢としては、様々な世論調査や、その平均値を公表するサイトなどの見解を総合すると、

▼民主党......ほぼ固めた議席47、やや優勢3
▼共和党......ほぼ固めた議席48、やや優勢2

という状況になっていると考えられています。

このうち、民主党の「やや優勢」は、

▽ネバダ州......共和党現職のヘラーと、民主党新人のローゼンが接戦、最終段階ではやや民主にモメンタムか。

▽アリゾナ州......新人女性候補の一騎打ちは互角の接戦。最後に来て、シネマ(民主)が、マクサリー(共和)をやや上回ったか?

▽ニュージャージー州......ベテランのメネンデス(民主)は安泰と思われたが、選挙への関心が高まるにつれて「汚職事件の灰色決着」が嫌われ、支持が低下中。但し、地盤としては強固なので逃げ切りか(?)。

共和党の「やや優勢」は、

▽テネシー州......新人同士の戦い。当初は民主のブレデセン優位でスタート。最高裁判事への保守派指名でブラックバーン(共和)が逆転。今回の小包爆弾やユダヤ教礼拝所襲撃で、再び民主党が追い上げ中だが届かないか?

▽テキサス州......元大統領候補の現職テッド・クルーズ(共和)に、起業家のビト・オルーケ(民主)が猛追。一度も追いついたことはない中で届かず終戦か?

となっています。その他にも、フロリダ、インディアナ、ミズーリなど、民主党優位が伝えられている州でも予測は困難です。個人的な感触としては、地元ニュージャージーで民主党現職(メネンデス)落選というサプライズの可能性が否定できないので、予想というのは大変に難しい状況です。

それはともかくとして、上記の「やや優勢」がそのまま結果につながった場合には、「どちらも過半数が取れない」つまり、最終の議席数が50/50という可能性は否定できなくなって来ました。とりあえず、その「与野党同数」という場合になったら何が起きるのかを考えてみたいと思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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