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ロシア寄り発言で窮地に立つトランプ、秋の中間選挙までに態勢を立て直せるか
「言い間違えた」というあり得ない言い訳で発言を撤回したトランプ Leah Millis-REUTERS
<ヘルシンキでの会見で、自国の情報機関への不信を述べたトランプ。帰国後に発言を撤回したが、この言動には保守系からの反発も大きく、秋の中間選挙までに状況を立て直せるかどうかが今後の焦点に>
7月16日にフィンランドのヘルシンキで行われた米ロ首脳会談の後の記者会見で、トランプ大統領は「自分の国の諜報機関よりもロシアのプーチン大統領を信じる」と受け取られかねない発言を繰り返しました。これに対して、日頃は大統領の支持に回っているFOXニュースもかなり批判的なスタンスを取っています。
例えばキャスターのクリス・ワレスは、プーチン大統領に独占インタビューを行って、再三にわたって「2016年大統領選への介入」を追及していました。他のキャスターも多くが「大統領の言動には疑問」という姿勢を取っていました。
保守系のFOXですらそのような姿勢だったわけですが、そもそも大統領に対して批判的なCNNや三大ネットワークなどは「ここぞ」とばかりに攻勢に出ています。例えば、NBCは元CIA長官のジョン・ブレナンを17日にスタジオに呼んで「場合によっては辞任を迫るレベルの問題」という厳しいコメントを引き出していました。
こうした状況を受けて、トランプ大統領は18日には「自分はプーチン大統領との会談後の会見では言い間違いをした」と述べています。つまり「ノー」と言ったのは「イエス」というつもりだったのを間違えたとか、かなり苦しい言い訳ではあるのですが、ダメージコントロールのために発言を正反対の方向に訂正していました。
ということで、政権にとっては危機に近い状況になっているのですが、いつものように「コア支持者」の大統領への忠誠は変わらないようです。NBCは18日の朝の番組で、ミシガン州の「トランプ支持者」たちにインタビューしており、そこでは登場した支持者たちが「大統領は、勤労者階級(ワーキング・クラス)の代表。自分たちはあくまで信じている」と口々に述べていました。
また、FOXニュースの中で、これまで大統領に対して極めて忠実な姿勢を取ってきた、キャスターのショーン・ハニティだけは、依然として大統領支持で突出しています。
こうした雰囲気を裏付けるものとしては、17日に発表されたロイター通信社とイプソス(調査会社)の合同調査が参考になります。大統領の対ロシア外交について政党別に見てゆくと、共和党支持者の間では、依然として「71%」が「大統領のロシア外交を支持」となっています。一方で、民主党支持者の間では「14%」ですから、政治的な分断は依然として根深いものがあります。
但し、この調査の全体数字としては、「不適切」が55%に対して「適切」が37%、という結果が出ていますから、やはり危機に近い状況というのは間違いないでしょう。
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