コラム

安倍政権とアメリカ政治の「ねじれ」に危険性はあるか?

2015年01月29日(木)12時46分

 ですが、これは明らかな「ねじれ」です。というのは、アメリカのリベラル派は、安倍政権の政策は歓迎していますが、その歴史認識については、サンフランシスコ体制への根本的な反逆を秘めているのではないかという疑念を抱いているからです。

 その「ねじれ」を抱えたままだと、安倍政権の対米政策は「疑われる分だけ、疑いを晴らすためにアメリカとの協調にのめり込む」という力学、そして「対外的なタテマエと、国内向けのホンネ」の分裂により内外から不信を買うことによって不安定になる危険があります。

 その意味で、今回のISILをめぐる危機と、戦後70年をめぐる「談話」の問題は密接に関わっている、つまり日米関係のオモテとウラの関係がそこにはあると言えるでしょう。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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