コラム

香港学生リーダーを捕まえる「邪悪な竜」の長い爪

2016年10月13日(木)17時50分

<香港の学生運動のリーダーがタイ入国の際に警察に拘束され、国外追放となった。最近、中国共産党は弾圧の手をタイにまで伸ばしている>

「雨傘運動」で活躍した香港の著名な学生リーダー黄之鋒(ジョシュア・ウォン)が、バンコクで76年に起きた学生運動の40周年記念活動に出席するため当地に向かったのは10月4日のこと。ところが思わぬことに、バンコクの空港に到着すると彼はたちまちタイ警察に拘束されてしまった。

 全世界が注目する中、12時間の拘束の後、ウォンは国外追放処分になった。香港に到着後、ウォンは記者に対して拘留時にタイ警察から「どのようにでも処分できる」と威嚇されたことを明らかにした。国外追放にあたって、タイ当局は出入国に関する法規によってウォンの入国を拒絶し、すでに彼をブラックリストに入れた、と文書で告知した。

 ウォンの拘束を知った時、私がまず思ったのは「彼は中国に送還されて、中国中央電視台(CCTV)で謝罪させられるのか?」ということだった。事件の展開を見るに、タイ政府のやり方はまるで中国政府による反政府派の弾圧のコピーだ。

 ここ数年来、タイは中国政府と協力して悪事を繰り返してきた。タイに逃れた数人の反政府派中国人は、国連高等難民弁務官事務所で政治難民の登録をしているにも関わらず、中国に送還される運命をたどった。香港・銅鑼湾書店の店主も中国警察によってタイから拉致された。

 今回、ウォンは中国当局に捕まえられ、中国のテレビで罪を認めさせられることはなかった。しかし、中国共産党という邪悪な竜の爪はすでにかなり長く伸びている。次に彼が捕まらないと、誰が保証できるだろうか。

プロフィール

辣椒(ラージャオ、王立銘)

風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

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